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そう告げた後、アイツは続けて



『お前にだって、人を救える力は十分ある……だから変に焦ンじゃねェ。お前はよくやってる、____』



優しい手つきで頭を撫で続けながら、そんな言葉を投げ掛ける。



私はそんなアイツの言葉に返答する事なく、黙々と手当てを行ってはいたものの



『(…何…コイツ……、)』



思いがけないその言葉に戸惑ってしまい、



どう反応していいか分からず、不自然に視線を巡らせていた。



手当てを終えた後、アイツは立ち上がったかと思えば



何か思い出したかのようにして、懐から小瓶を取り出す。



『これ、お前にやる。』



手渡された小瓶に視線を移すと、そこには色鮮やかな金平糖が入っていた。



『…お前、普段から苛々してるからよォ、糖分足りてねェだろォ。勉強の合間にでも食っとけェ』



『は…?誰のせいで苛立ってると思ってる…元凶はお前だ、』



苛立つと共にそんな言葉を吐き捨てながらも、



『……、…___』



小瓶を開け、受け取った金平糖を一粒口へと運ぶ。



『(…美味しい…、)』



やさしい甘さが口の中へと広がり、先程まで気を張っていた口元が思わず緩んでしまう中



アイツは少し驚いたような表情を浮かべたかと思えば、



私と視線を合わせるようにして、その場にしゃがみ込み



何か言葉を発する訳でもなく、物珍しそうな様子でこちらに視線を向けてくる。



『…なに…、…』



不審に思い、後方へと身を引きながらそう尋ねると



アイツは私の顔を覗き込みながら、



『美味ェか』



そう一言尋ねてきたため、その言葉に返すようにして小さく頷く。



『そうかァ…』



すると、アイツはふっと柔らかい笑みをこぼしながら、その場に立ち上がり



『…また買ってくる、手当てありがとなァ。___』



私の頭に軽く手を置いた後、颯爽とその場を立ち去っていった。
















私は手に持った金平糖を見つめ、また一つ頬張った後



『(アイツ、あんな風に笑えるんだな…。)』



そんな事を思いながら瓶の蓋を閉め、机上の端へと置く。



使用した包帯や薬品を片付けながら、先程アイツに掛けられた言葉を思い出し



『……、』



私を認めてくれたあの言葉に、嬉しさや気恥ずかしい気持ちを抱きはしたものの



『(何で…こんなに、アイツの存在は癪に障るんだろうな…。____)』



そんな思いとはまた違う…上手く言い表せない感情が、心の奥底に引っ掛かっていた。

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作者名: | 作成日時:2023年9月18日 10時

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