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手当てを行う最中、アイツは私に対して



『お前よォ…医者になりてェってなら、まずは自分の身体大事にしねェとダメだろォ』



『手の神経やられでもしたらどうすンだァ…、なれるモンもなれなくなっちまうだろォ』



器用に包帯を巻きながら、叱るような口調でそんな言葉を投げ掛ける。



『お前…何でそれ知ってる、誰に聞いた。』



『匡近が話してたァ、あと…胡蝶も言ってたなァ』



アイツは私の問いに返答すると同時に、包帯を巻き終わり



私の顔を覗き込んだかと思えば、静かに口を開いて



『…あまり無理すンなよォ、____』



怪我をした手を包み込むようにして握りながら、そんな言葉を投げ掛ける。



『(は…?)』



何を言っているのか分からず、一瞬思考が停止しかけたものの



『…きしょ、』



すぐさまアイツの手を払い除け、



睨みを効かせた後は、アイツが手に持っていた包帯を奪い取る。



『早く怪我みせろ、それで持って…手当て終わったら即帰れ、お前見てると苛々する…。____』



その後は、終始苛立ちながらもアイツに手当てを施し



『手当て…ありがとなァ、』



そう言って、去っていくアイツの言葉に返答する事もなければ



『………』



先程の礼を告げる事もなく、取り出した包帯と薬を箱の中へとしまった。



















その日の夜、薄暗いあの部屋へと足を運び



『(今日亡くなった隊士は…四人…、)』



一人一人の遺体を確認し、身なりを整えていく。



…鬼との戦闘で命を落とし、身体の一部が欠けてしまった隊士もいれば



戦闘後、昏睡状態に陥り…そのまま静かに息を引き取った隊士もいる。



長い延命治療の上、助からなかった隊士もいれば



蝶屋敷に運ばれてきた頃には、既に手遅れで…何の施しようもなかった隊士もいる。



亡骸となってしまうその過程は、人それぞれではあるものの



根本的な原因は、皆全て同じで



『………、』



変わり果てた隊士たちの姿を眺めながら、下唇を噛み締めると共に下ろした拳を握り締める。



そんな中、扉が開く音がしたかと思うと



『…遅くまでお疲れ様。』



穏やかな口調でそう声を掛ける、カナエさんの姿がそこにはあった。



カナエさんは一人一人の隊士のもとを訪れ、静かに手を合わせた後



私と視線を合わせるようにして、その場で屈み



『紫、そろそろ…戻りましょうか。____』



にこやかな笑顔を浮かべながら、私の手を優しく握った。

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作者名: | 作成日時:2023年9月18日 10時

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