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___後日、蝶屋敷にて



黒羽は先日の雨で、柄が滲んでしまった着物へと目を向けて



「(これはもう…着れそうにないな…。)」



少し肩を落としながら、そんな事を思っていると



「…紫、」



か細い声が耳へと入り込み、



「カナヲ…何か用、?」



自室の襖を開けると、そこにはカナヲの姿が。



「風柱様が…紫の事探してたから…、それで…。」



少し言いづらそうな様子で、カナヲがそう告げる中



黒羽は一瞬、面倒臭そうな表情を浮かべながらも



すぐに「分かった」と一言返し、部屋の襖を静かに閉める。



そしてカナヲに背を向け、不死川のもとへと向かおうとすると



背後から僅かに羽織を引かれる感覚があり、



「…どうかした、?」



裾を掴むカナヲに対して、黒羽がそう尋ねると



「一人で…大丈夫…?私も…一緒に、___」



心配そうな表情を浮かべながら、カナヲはそう声を掛けるものの



「…大丈夫。あァでも…また殴られたらその時は手当てよろしく。___」



黒羽は冗談混じりの言葉を投げ掛けながら、颯爽とその場を立ち去っていく。



















___長い廊下を歩き、角を曲がったところで



『殺』と記された、見覚えのある羽織が目に留まり



「…不死川さん、屋敷内ウロウロして何してるんですか。盗みでも働くつもりですか、」



「生憎此処にはそんな高価なものないですよ。他所でやって下さい、」



自身を探しているであろう不死川に対して、そんな言葉を投げ掛ける。



対する不死川は、黒羽の方へと振り返り



「誰が盗みなんてするかァ…人聞き悪い事言うンじゃねェ」



若干苛立った様子で言葉を返しながらも、



「……」



不死川は黒羽の方へと近づいたかと思えば



「これ…お前にやる。」



懐から小さな木箱を取り出し、それを黒羽へと手渡す。



「何ですかこれ…爆発物とかですかね、」



手渡された箱を軽く揺らしながら、黒羽がそう告げる中



「ンな訳ねェだろ、いいから開けてみろォ」



不死川は黒羽の方へと視線を向けて、早く開けるようにと促す。



「……、」



黒羽は不思議そうな表情を浮かべながらも、手渡された箱へと視線を移し



木箱の蓋をそっと開けてみると、



「…!」



そこには和風な華の装飾が施された、黒い櫛が収められており



「お前…この前ずっと櫛眺めてたろォ」



「欲しいのかと思って…買ったンだけどよォ、…気に入りそうかァ」

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作者名: | 作成日時:2023年9月18日 10時

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