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___翌朝、不死川は起床と共に黒羽を起こすものの
黒羽は何度声を掛けても、起き上がる気配がなく
「母さん…今日は日曜だから、休みでしょ…。」
「本当、母さんは…おっちょこちょい___」
そう告げる黒羽の言葉に、不死川は被せるようにして
「誰が母さんだァ…寝ぼけた事言ってンじゃねェ」
「それと今日は水曜だァ、早く起きろクソガキ」
叱り付けると同時に、半ば強引に布団を剥ぎ取る。
眠い目を擦りながら、黒羽が着替えを終える中
「着替え…終わったかァ、」
一旦廊下に出て、待機していた不死川がそう声を掛けるものの
黒羽は不死川の呼び掛けに返答する事なく、
「(…寝よ、)」
そんな事を思いながら、小さく欠伸をする。
一方、次第に苛立ちが募り始めた不死川は
「(遅ェ…、アイツ何してンだァ…。)」
通り掛かった女中を呼び止め、中の様子を確認させるものの
「あの…お連れ様の姿が見当たらないんですが…、」
そう告げられ、不死川は部屋の中へと足を踏み入れる。
不死川は辺りを見渡したかと思えば、すぐさま押し入れの戸へと手を掛けて
「こんな所で何してンだァ、さっさと出て来い___」
そう声を掛けながら、布団に寄りかかるようにして眠る黒羽を強引に引き摺り出す。
その後、二人は顔を合わせながら朝食を取るものの
「……」
黒羽は終始ぼんやりとした様子で、食事を口へと運んでおり
「(コイツ…朝弱すぎだろォ…、毎朝こんな感じなのかァ…?)」
「オイ…食ってる途中に寝るなァ、溢しても知らねェぞ___」
…そうは言いつつも、不死川は黒羽の手から茶碗が滑り落ちそうになると
「危ねェだろォ、ちゃんと手元見ろ。」
落ちかけた茶碗を支えながら、黒羽にそう声を掛ける。
食事を終えた後、不死川は屋敷を立つ前に
事前に鴉から受け取った、鬼の情報について書かれた報告書を読んでいると
「……」
黒羽が無言で不死川の背後へと近づき、
背を向けるかたちで、その場に腰を下ろしたかと思えば
「…堅、___」
不死川の背中へと寄り掛かり、ゆっくりと瞼を閉じる。
不死川は自身の背を借り、すぐさま眠りにつこうとする黒羽に対して
「オイ…寝るなァ、いい加減目覚ませェ」
「もうすぐ此処出るってのによォ…ったく、」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年9月18日 10時