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____行燈の明かりが部屋へと灯り、
刀の手入れを行う不死川の影が、壁へと映し出される中
黒羽は静かに寝返りを打ったかと思うと、
「……、」
閉じた瞼をゆっくりと開け、不死川の後ろ姿へと目を向ける。
一方、不死川は何となくではありながらも、背後から視線を感じ
「(そろそろ辞めとくかァ…)」
寝れないであろう黒羽に気を遣い、刀を一旦置いた後
「……悪ィ、今辞め___」
背後へと振り返り、そう言い掛けた時だった。
振り返ったその先に、黒羽の姿はなく
「別に続けていいですよ、お気になさらず。」
黒羽はいつの間にか、不死川のすぐ真横に腰を下ろして座っており
緑色の光沢を帯びる刀を眺めながら、不死川にそう声を掛ける。
不死川は一瞬ビクリと肩を揺らしながらも、黒羽の方へと視線を向けて
「…朝早ェンだろ、寝なくていいのかァ」
そう尋ねるものの、黒羽はその問いに返答する事なく
「アンタ、その刀…そろそろ打ち直してもらった方がいいですよ。」
「刃こぼれも見られますし…手入れだけで、どうにかなるとは思えませんけど。」
そんな言葉を投げ掛けた後、黒羽は付け足すようにして
「かくいう私も、そろそろ刀を打ち直しに行きたいんですけど……あそこの里はどうにも苦手で。喧しい人達が多いんですよね、」
「担当の刀鍛冶とも馬が合いませんし、代わりに行ってきて貰えません？…どうせアンタ、暇でしょ。」
「暇じゃねェ、自分で行って来い。___」
不死川はそう言葉を返した後、ふたたび刀を手に取り
黒羽に見守られる中、黙々と手入れを行っていく。
「……、…____」
黒羽は刀へと向けていたその視線を、手入れを行う不死川の腕へと移し
「アンタは…相変わらず、傷が絶えませんね。___」
そう告げたかと思えば、半ば強引に不死川の腕を掴み
「この傷…自傷の痕ですよね、」
「稀血だかなんだか知りませんけど……無闇矢鱈に血を流すのは、如何なものかと。」
深い傷跡に目を向けながら、そんな言葉を投げ掛ける。
「…うるせェ、」
図星を突かれ、不死川が決まりの悪そうな表情を浮かべる中
「……」
黒羽は不死川の傷跡を眺めながら、少しの間…口を閉ざしたかと思えば
「不死川さんは…自傷以外の傷も多いですね、」
「私は…アンタのこの傷が羨ましいですよ。___」
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作者名：雫 | 作成日時：2023年9月18日 10時
