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不死川がそう尋ねる中、黒羽は口を開いたかと思えば
「伴侶…?知りませんよ、あの方が勝手に勘違いしたんでしょう。」
「『部屋の空きがない』と家主の方が困っていたので…、私はそれを解消してあげただけです。」
「不死川さんとは…口付けするような仲なので、相部屋でも何ら問題はないと、そう言いました。」
食事を口へと運びながら、何食わぬ顔でそう告げる。
「紛らわしい言い方しやがってェ…俺とお前はそんな仲じゃ___」
黒羽の言葉に対し、不死川がそう言い掛けた時だった。
黒羽が一旦箸を止め、不死川の方へと視線を向けたかと思えば
「じゃあ…私とアンタはどんな仲ですか、」
突如、そんな問いを不死川へと投げ掛ける。
「……、」
その問いに不死川が口籠る中、
黒羽は不死川から視線を外し、目の前の食事へと箸を通す。
「私とアンタは…仲のいい友人とは言えませんよね。勿論恋仲でもないですし、師弟関係でもない…家族でもない。」
「一応仲間ではありますけど…同期って訳でもないですし、一般隊士と柱だとそれなりに壁はあるかと思うんですけど……」
「どうして私とアンタは、こうして顔を合わせながら…食事をしているんでしょうね。___」
黒羽はそう告げた後、不死川の方へと目を向けて
「…早く手付けたらどうです、せっかくの食事が冷めますよ。」
黙って話を聞いていた不死川にそう声を掛ける。
不死川は「…あァ、」と返答した後、
箸を手に取り、黒羽に押し付けられた食材を口へと含む。
「…、…___」
喉を鳴らし、それらを流し込んだ後
「何かしらの関係がねェと…一緒に飯も食えねェのかァ」
不死川は食事に箸を付けながら、黒羽に対してそんな問いを投げ掛ける。
「……」
黒羽は一旦箸を止め、不死川の方へと視線を向けたかと思えば
「それ…美味しいですか、」
「あァ…美味ェけど…、…?」
不思議そうな表情を浮かべながらも、そう言葉を返す不死川を目にし
黒羽は「そうですか」と告げた後、
「一緒に食事をして…そう思えるなら、名のある関係は必要ありませんね。___」
そうは言いながらも、その後付け足すようにして
「ちなみに私は…アンタのその面見ながら、食事するのは苦痛ですけどね。」
「元々の料理が美味しいので、不味いとは思いませんが…不快ではあります。」
「あァそうかよォ…不快にさせて悪かったなァ、___」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年9月18日 10時