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黒羽はそう告げた後、ふたたび口を開き
「来れてなかったのは…匡近の死を受け入れられないだとか、そんなんじゃないですよ。」
「私は…匡近との約束を破ったので、合わせる顔がないと思って。今の私をみたら…匡近は何て言うでしょうね、」
「約束破って剣士になって…、自らの身体を犠牲にして……あの温厚な匡近であっても…アンタみたいに私を殴るかもしれませんね。」
冗談を交えながら、黒羽がそう話す中
「…匡近は…そんな事しねェ、」
不死川は視線を落としながら、呟くようにしてそう告げる。
黒羽はそんな不死川の言葉に「ですね」と返した後、
「そろそろ…戻りますか。」
その場に立ち上がり、不死川の返事を待たずして一人先へと歩き出す。
先を歩くその後ろ姿は、何処か寂しそうに見え
「……」
不死川が立ち尽くすようにして、黒羽の後ろ姿に目を向けていると
「不死川さん、何してるんですか。置いてきますよ、」
黒羽は不死川の方へと振り返り、そう声を掛ける。
不死川が「…おう、」と一言返し、黒羽のもとへと向かう中
「(……)」
黒羽は視線を落とす不死川に対して、何か思うところがありながらも
その場で口に出す事なく、ふたたび前を向いて歩き始めた。
___道中、ふたたび街中を通る中で、黒羽は口を開いたかと思えば
「さっき…あそこに来れてなかったのは、匡近に合わせる顔がなかったからだと言いましたけど……、」
「来れなかったのは…アンタのせいでもあるんですよ。」
不死川の方に視線を向けながら、そんな言葉を投げ掛ける。
「今日不死川さんを誘ったのは…匡近の為だとか、嫌がらせとかではなく……一緒に行く事で何か変わるかと思ったんですけど…、」
「結局…何も変わらないどころか、逆効果でしたね。」
「…次は別々で行きましょうか、その方がアンタも気楽でしょう。…今日は無理に誘ってすみませんでした。」
淡々とした口調で黒羽がそう話す中、
「…、…____」
不死川は黒羽の方へと視線を向け、言葉を発しようとしたその時。
「アンタ…どうしたんだい…っ、大丈夫かい…!?」
すぐ付近から、焦った様子でいる女の声がしたかと思うと
女のすぐ側では、苦しそうにして倒れ込む男の姿があり
「誰か…っ、お願い…早くお医者様を____」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年9月18日 10時