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そう言って粂野が微笑む中、



『(……)』



黒羽は内心複雑な気持ちを抱きながら、視線を僅かに下へと落とした。












その後、粂野は次の任務へと向かう為、黒羽とカナエに別れを告げ



蝶屋敷へと戻る帰り道、カナエは黒羽に対して



『紫、いつか…粂野くんから貰えるといいわね。』



ニコッと微笑みかけながら、そんな言葉を投げ掛ける。



黒羽は少し驚いたような表情を浮かべた後、



『…気付いてたんですか、』



若干気恥ずかしそうな表情を浮かべ、カナエにそう尋ねる。



『ええ、だって紫…粂野くんに会った時、ぎこちなかったもの。粂野くんは気付いてないと思うけど……私の目は誤魔化せないわよ。』



ニコニコと笑顔を浮かべながら、カナエがそう告げる中



『……』



黒羽は少しの沈黙の後で、



『…匡近には言わないで下さいね、私自身も言うつもりないので。…この気持ちは墓場まで持ってきます、』



視線を落としながら、淡々とした口調でそう告げる。



カナエが不思議そうな様子で『どうして?』と尋ねると、



『私は…今のままで十分幸せなので。それ以上は何も望みません。』



『それに…匡近には、いつか良い相手を見つけて…幸せになって欲しいって思いますし…、私がそれを邪魔しちゃいけないでしょう。』



そう返答する黒羽に対して、カナエは一旦立ち止まったかと思えば



『紫は…不死川くんに少し似てるわね、』



『…え、』



唐突にそんな言葉を掛けられ、黒羽が目を丸くする中



カナエはふたたび口を開いて



『今の話もだけど…紫、さっき私の為に櫛を買ってくれようとしたでしょう?』



『あなたは全くと言って良い程、物をねだらないし我儘も言わない……それなのに、自分以外の人の事を思って行動する事が多いから…、』



『要するに…あなたは優しすぎるのよ。___』



少し困ったような笑顔を浮かべながら、カナエは穏やかな口調でそう告げる。



『(別に…そんな事ないと思うけど…、)』



黒羽は腑に落ちない様子ではありながらも、カナエの方へと視線を向けて



『じゃあ…アイツも優しいって事ですか?』



『アイツじゃなくて…不死川くんね。ちゃんと名前で呼びなさい、』



『嫌です』



即答する黒羽に、カナエは困ったような表情を浮かべながらも



先程の問いかけに答えるようにして、



『不死川くんが優しいかどうかは…あなたの目で確かめてみなさい。きっとすぐに分かるわ、____』

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作者名: | 作成日時:2023年9月18日 10時

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