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アオイがそう答える中、不死川の脳裏には以前胡蝶に掛けられた言葉が浮かび
『彼女が何故、あなたの前だけ…必要以上に笑顔を取り繕うのか……その理由をよく考えてみて下さい。』
「(___そう言われたけどよォ…未だに分からねェンだよなァ…)」
そんな事を思いながら頭を悩ませていると、アオイがふたたび口を開き
「でも、紫は…不死川さんの前だとよく笑っていますよね。」
「紫にとって、不死川さんは特別なんでしょうね。少しだけ…羨ましいです、」
微かに笑みをこぼしながら、不死川に対してそんな言葉を投げ掛ける。
対する不死川は、少し驚いたような表情を浮かべた後
「特別…って言ってもよォ、そこに良い意味なんて無ェだろォ」
「アイツが俺の前で笑うのは…俺を恨んでるからで…、嫌味のつもりであんな笑顔取り繕ってンだろォよ…。」
視線を下へと落としながら、不死川がそう告げる中
アオイはそんな不死川を目にし、少し間を置いてから静かに口を開く。
「紫は…不死川さんの事、恨んでないと思いますよ。」
「むしろ…不死川さんの事、心配しているというか…気に掛けているような感じが度々しますし…。」
アオイはそう告げた後、何か思い出すかのようにして
「四年以上前の話になりますけど、紫が此処を出て行った後…私、紫と文通していたんですよ。」
「その手紙の中に…不死川さんの事を気に掛けるような内容が時折、書かれていましたよ。」
「『怪我してないか』だとか『ご飯は食べているか』…だとか、あとは…そうですね___」
「『 ちゃんと笑えているか 』」
「___そういった内容も、書かれていたような気がします。」
アオイはそこまで告げた後、真っ直ぐな視線を不死川へと向けて
「紫は…不器用なりに、不死川さんのことを思っているかと思います。」
「確かに、不死川さんが言うように…紫のあの笑顔は、取り繕ったものに見えますけど…」
「でも、あれは…決して嫌味だとかではなくて、…きっと紫は____」
アオイがそう言い掛けた時だった。
「善逸さーん!何処に行くんですか、お薬ちゃんと飲まないとダメですよ…!」
「無理無理!!こんな苦い薬飲めないって、そもそもこれ飲んで本当に治るの!?ねぇっ、!?」
「善逸さん、落ち着いて下さい!他の方も療養されているので、屋敷内ではお静かにして下さい…!」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年9月18日 10時