検索窓
今日:15 hit、昨日:27 hit、合計:13,392 hit

60 ページ11

___某日、何やら慌てた様子で、アオイが駆け寄って来たかと思うと



『紫、大変…!昨日運ばれてきた隊士の容態が急変して…それで…、____』



医療器具を持って、すぐさま隊士のもとへと向かい



『(不味い…脈が弱まってる…、)』



胡蝶姉妹が不在の中、何とかその命を繋ぎ止めようとするものの
















『___アオイ、後は私がやっておくから…他の業務に移っていいよ。』



補助を務めてくれたアオイにそう声を掛け、使用した器具を片付けて行く。



静まり返った部屋に残るのは、冷たくなった亡骸と



何も救う事など出来ない無能な自分。



その後はいつも通りの業務を済ませ、自室へと向かう途中



嫌でも見慣れた白髪と、その周りを囲む数名の隊士が目に入り



『不死川さん…先程の任務では、危ないところを助けていただいて…本当にありがとうございました…!』



『不死川さんがいなかったら…私達、きっと今頃____』



そう言って涙ぐむ隊士に対して、アイツは慰めの言葉を掛ける訳でもなく



『…礼なんて要らねェからよォ、早くその怪我診てもらえェ。____』



立ち去ると同時にそんな言葉を投げ掛け、



腰に刀を携えながら、そのまま次の任務へと向かっていた。



数名の隊士たちはそんなアイツを見送った後、



戻ってきたカナエさんが待つ、診察室へと向かいながら



『不死川さん、やっぱり凄いよな…実力は勿論だけど、器量もあるというか……ああいう人こそ、柱に相応しいよな。』



『そうね、不死川さん…確か階級『甲』みたいだし、あの人ならきっと…もうすぐ柱になるわよ。____』















隊士たちがそんな会話をしながら、すぐ横を通り過ぎる中



自室へと向かい、静かに襖を閉じる。



そして、いつものように書籍を手元に寄せ、ページをめくろうとするものの



ビリっと紙が破ける音が、部屋の中へと響き



『……ッ』



書籍の上にはポタポタと雫が落ち、文字が滲んでいく。



破いた紙と共に拳を握り締め、書籍を放り捨てた後は



置いていた瓶を落とすようにして、机上から払い



その際いくつかの瓶にヒビが入り、液体が漏れ出しはしたものの



『(もう…どうでもいい…____)』



溢れ始めたその思いに蓋をする事は出来ず、



机上へと突っ伏し、視界に入るもの全てを遮った。

61→←59



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年9月18日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。