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その後、二人は隠によって蝶屋敷へと運ばれ



逸早く目が覚め、手当てを終えた黒羽は屋敷内で胡蝶の姿を探す。



そして、とある部屋の前を通り掛かった際



見慣れた蝶の髪飾りと、先程まで行動を共にしていた男の姿が目に入り



「___師範、あの薬…いくら何でも睡眠薬入れすぎですよ。不死川さん、一生起きないんじゃないですか。」



部屋へと足を踏み入れ、点滴に繋がれた不死川の容態を眺めながら、そんな言葉を投げ掛ける。



対する胡蝶は、用具箱から包帯を取り出し


 
「そこまで入れたつもりはありませんでしたが…、すみません。うっかりしてました、」



ニコッと微笑みかけた後、不死川が寝ている間に、手際よく怪我の手当てを行っていく。



そして、一通り手当てが済んだところで、胡蝶は使用した包帯や薬を箱の中へとしまい



「…………」



蓋を閉じると同時に、黒羽の方へと視線を移し



「それで…紫、どうしてあなたは…あの薬が『解毒薬』だと分かったんですか。」



静かに口を開き、そんな問いを黒羽へと投げ掛ける。



黒羽は少し考え込むような様子を見せながらも、すぐさま口を開き



「師範は…あの薬を渡した時、これはあなたにとって『最大の毒』であると、そう言いましたよね。」



「私が恐れるべき毒は『自らの死に至る毒』…ではなく、『剣士として死に至る毒』ですから…つまりは、そういう事ですよね。」



「師範が作ってくれたあの解毒薬は、ただの解毒薬ではない。あの中には…かなり強力な成分が含まれていたかと思います。」



「例えるなら…二年間溜め込んだ毒を一気に分解してくれるような、それくらいの効き目があったのかなと。」



そう告げると同時に、黒羽は先程の胡蝶の笑顔に返すようにして、ニコッと微笑み掛ける。



「まァ…殆ど不死川さんに飲ませたんで、それ程の効き目はないかと思いますが……おかげで、少し身体が軽くなりましたよ。」



「寿命も少しは伸びたんじゃないかと。でもその分、溜め続けた毒が減っちゃいましたね…、」



「これで鬼の頸が斬れなくなって、喰べられでもしたら…元も子もないんじゃないですか?…師範、____」



冗談混じりの言葉と笑みをこぼし、黒羽がそう尋ねると



胡蝶は少しの沈黙の後、軽くため息をつきながら



「紫、あなたは…賢い子ですね…。」



「渡した時点で、既にそこまで気付かれていただなんて……流石としか言いようがないですよ…、____」

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作者名: | 作成日時:2023年9月18日 10時

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