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戸惑い ページ11

***

(不死川 side)



アイツと共に出掛けたあの日、



アイツは俺に対して、脈なしであるという事が痛い程分かった。



『嫁に貰え』と言っておいて、いいのかと尋ねると



動揺した様子でこちらに視線を向け、ただの冗談であった事に気付かされる。



挙げ句の果てには、他の女と『遊べばいい』と言われ



別に…して欲しかった訳ではないが、



少しくらい…妬くような素振りを見せてもいいだろうと思い……嫌味な態度を取ってしまった。



複雑な気持ちを抱えながら、アイツの手を引き続けていると



『お前にとって、私は妹か』と尋ねられ、



「(妹な訳ねェだろォがァ……俺ァちゃんと、お前の事を一人の女として、見てるってのによォ…。)」



そんな事を思いながらアイツの問いに返答した後、



またしばらく…沈黙が訪れたかと思えば、アイツは口を開いて



「お前…手、べたべたする…おはぎ食べた後、手拭いてないだろ。」



「ふざけた事言ってンじゃねェ……テメェを探し回ったからだろォがァ…、嫌なら離せェ。」



そんな理由をつけ、アイツにそう告げるものの



「(クソ…手握るだけで、緊張するとか…情けねェ…絶対、コイツには悟られたくねェ……。)」



そんな事を思っていると、アイツは俺からパッと手を離し



「(…離すのかよォ、)」



離されたら、離されたで…少し残念に思ってしまう自分がいて



俺はこんなに面倒臭い男だったかと、自分自身に呆れてしまう。



すると、アイツは俺の反対側へと移動したかと思えば、先程とは違う方の手を握り、



「…あまり変わらないな、べたべたする。」



「何なんだァ…お前はよォ、…文句あるなら離せばいいってのに…、」



アイツに視線を向けながらそう話すと、アイツは俺の手をきゅっと握りながら



「嫌だ、繋いでたい。」



何のためらいもなく、そう言い切り



俺の手を握りながら、日が落ち始めた外の景色を眺めていた。



「(コイツ…何でこんな、はっきり言えるんだァ……、)」



緩みそうになってしまう口元を、引き締めると同時に



おそらく、コイツがはっきりとそう言えるのは…俺に気がないからだろう。



好きな男の前であれば、多少恥じるのかもしれないが…俺に対してこの態度という事は、



「(やっぱり、脈なし…だよなァ、…。)」



そんな事を思いながら、緊張で汗ばむその手で、アイツの手を引き続けた。

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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年7月27日 0時

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