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一方、西條は蝶屋敷へと向かい、胡蝶の診察を受ける中



胡蝶は耳の聞こえない西條に対し、筆でさらさらと文字を書き綴りながら、会話を進めていく。



【 まだ、耳は聞こえませんか 】



その問いに対して西條が頷くと、胡蝶は筆を取って



【 前回来た時と、同じ質問をします 】



【 あなたは『鬼の血鬼術に、かかってから耳が聞こえなくなった』と話していましたが、】



【 本当に、それが原因でしょうか 】



そう文字を綴り、胡蝶が西條を静かに見つめていると



西條は胡蝶から受け取った紙の隅に、小さい文字で



【 分からない 】



と書いた後、ふたたび筆を取って、何かを書き出し



【 煙草、吸っていいか 】



…胡蝶はその文字を目にした瞬間、耳の聞こえない西條でも分かるように口を動かして、



「 ダメです 」



にこやかな笑みを浮かべながら、はっきりとそう告げた。



その後、西條の診察を終えた胡蝶は、一人部屋の中で頭を抱え込みながら



「(血鬼術であれば…鬼を斬ったと同時に、術は消滅する筈なんですが…。やはり、彼女のあの症状は血鬼術が原因とは考えにくい…、)」



「(…となると、根本的な原因は…もしかしたら___)」



そんな事を考えていると、診察室の扉が勢いよく開き



「しのぶー!いるかー?」



「伊之助!しのぶさんだ、呼び捨ては失礼だ!すみません…しのぶさん…、」



手当てを受けに胡蝶のもとへとやって来たのは、炭治郎と伊之助。



胡蝶は二人を笑顔で出迎え、手当てを行いながら



「今日は…お二人だけの任務だったんですね。善逸くんは…別の任務でしょうか、?」



「はい。善逸ならさっき、入れ違いで西條さんと任務に…。善逸…西條さんに迷惑かけないか、少し心配ですけどね…、」



女性に目がない善逸の性格を気にし、苦笑を浮かべながらそう話す炭治郎。



するとそこへ、伊之助が口を挟むようにして



「西條って…さっき会った、あの女か?アイツ…変わってるよな、全然話さねぇし…強そうだったから、勝負挑んだのに無視するしよ…、」



「伊之助、西條さんは耳が聞こえないんだ。だから、伊之助の事を無視していた訳じゃ___」



炭治郎が伊之助の誤解を解く中、胡蝶は視線を落とし



「(彼女の耳が聞こえなくなってから、一ヶ月…。早く…症状の原因を、突き止めなければ___)」



そんな事を思いながら、先ほど筆談のやり取りをした紙を静かに見つめていた。

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作者名: | 作成日時:2023年7月19日 18時

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