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部屋へと戻ると、不死川は星宮のベッドの前にあった椅子へと腰を下ろし、林檎の皮を剥いていく。



星宮は身体を起こし、若干前のめりになりながら、不死川の手元をじっと見つめ



「お前…、意外と手先器用だな…。」



「まァな、…つーか、あんま寄るんじゃねェ…危ねェだろォ」



器用に林檎の皮を剥いていく中、不死川は先ほど星宮が話していた事を思い出し



「(…水瀬…ってアイツだよなァ、…あの時コイツと一緒に部屋にいた…___)」



それと同時に、星宮が水瀬に抱きついていた光景がよぎり、不死川は星宮に目を向けて



「…お前よォ、…嫁入り前の女が、男にそう易々と抱きつくもんじゃねェ…変な気でも起こされたら困るだろォ…。」



唐突にそう言われ、星宮は何の話か分かっていない様子ではありながらも、



「……妬みか、?…お前、女に縁無さそうだもんな。」



「違ェよ。そういう話をしてるんじゃねェ…ったく…、…」



そう言って、黙々と林檎を切り進めていく不死川。



星宮がそんな不死川の手元を見つめていると、ふとある事に気がつき



「(コイツ…任務帰りか…?…生傷…多いな…、)」



捲れ上がった羽織の裾から見える傷だけでなく、よく見ると顔や胸元にも新しい傷が出来ており、



「…お前、今日任務あったろ。…ちゃんと胡蝶さんに診てもらってるのか。」



星宮がそう問いかけると、不死川は何ともない様子で



「…あァ、このくらいの怪我なら…放って置いて大丈夫だァ…問題ねェ。……ほら、切れたぞォ」



机上に包丁を置き、不死川が切った林檎を差し出す中、



不死川の言葉を聞いて、星宮の瞳が一瞬悲しげに曇る。



「……オイ、どうしたァ。食わねェのかァ、」



黙り込む星宮に不死川がそう声を掛けると、星宮は口を開いて



「…やっぱりいい。そこ置いとけ、後で食べる」



「はァ…?お前…せっかく俺が切って、___」



すると、星宮は不死川の言葉を遮るようにしてベッドから降りたかと思うと、



椅子へと腰をかける不死川を、優しく包み込むようにして抱きしめる。



「………どうしたァ、急に…。」



不死川は内心、星宮の行動に驚きながらも



いつもと違った星宮の雰囲気を感じとり、少し心配そうな目を彼女へと向ける。



星宮は不死川の首筋に手を回したまま、呟くようにして



「……お前…人の心配はあんなにする癖に…、自分の心配はしないんだな…、…____」

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作者名: | 作成日時:2023年6月12日 2時

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