星屑を掴む【不死川実弥】 (ページ36)

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数日後、蝶屋敷にて

「___…怪我の具合どうだァ。それと…飯はちゃんと食ってんだろうなァ、…あと、薬も毎日飲んで__」

星宮が療養する部屋では、彼女の様子を見に来た不死川の姿があった。

星宮はしきりに色々と聞いてくる不死川に、じとっとした目を向けながら

「(コイツ…見かけに合わず、意外と心配性だな…。)」

そんな事を思っていると、不死川は星宮の近くにある机へと目を向けて

「…さっきから気になってたけどよォ…お前、それ誰から貰ったァ？誰か来たのかァ、」

机上には紅く色づいた林檎が二つ、置かれてあった。星宮は林檎に目を向けながら、

「…アイツ…、…水瀬がくれた。…他の奴から沢山貰ったからって、」

___…遡ること数時間前、星宮の部屋に水瀬が訪ねて来たかと思うと、机の上に林檎を二つ置いて

『…これやる、』

ぶっきらぼうにそう告げる水瀬。星宮は不思議そうに林檎を眺めた後、水瀬に目を向けて

『…お前、これ…盗んで来たものじゃないだろうな。』

『何でそうなるんだよ、…他の奴から見舞いで貰ったんだよ。…食いきれねェから、お前にもやる。』

『別に…私じゃなくても…、そこら辺の隊士にでもあげれば___』

すると、星宮の言葉を遮るようにして水瀬が舌打ちをしたかと思うと、

視線をあちこちに巡らせながら、言いづらそうにして

『…いいから…これ食って、早く怪我治せ…って言ってんだよ、馬鹿…ッ！！___』

そう言い放った後、水瀬は勢いよく扉を閉めて、その場を去ってしまった。星宮は林檎を見つめながら、

『(林檎食べても…怪我は治らないと思うが…、…アイツ…本当に馬鹿なのか…？)』

___…そんな経緯を星宮が説明した後、不死川は少し間を置いてから、口を開き

「………よかったなァ、」

そうは言いつつも、不死川のその表情は何処か曇っているようにも見えた。

星宮は林檎を手に取って、不死川目掛けて勢いよく投げたかと思えば

「切れ」

「…はァ…？…何で俺が…、__」

不死川は投げられた林檎を掴み、何か言い続けようとしたが、軽くため息をついた後で

「………切ればいいんだろォ、切ればァ…。」

不死川はひとまず蝶屋敷の台所へと向かい、包丁を手に取った後、星宮が待つ部屋へと戻っていった。