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はっきりとした口調で、黒羽がそう話す中
「お前…それ嘘だろォ、」
「いいから早く、本当の誕生日教えろォ」
不死川は咄嗟の嘘を見抜き、黒羽に対してそんな言葉を投げ掛ける。
「どうして…嘘だって言い切れるんですか。本当に明日、誕生日かもしれないでしょう。」
その言葉に対して、黒羽がそう返すと
「昔、匡近に連れられて…お前の誕生日プレゼント選びに行った事あるからよォ…。」
「その時は…確か春先だった。…だから、明日ってのは嘘だろォ」
不死川は呟くようにして、そんな言葉を黒羽へと投げ掛ける。
「選びに行ったって…私、アンタから一度も貰った事ありませんけど?」
「……、」
黒羽の言葉を聞き、不死川は決まりの悪そうな表情を浮かべたかと思えば
「俺から貰っても…嬉しくねェだろうと思って、匡近に…代わりに渡して貰ってたァ…。」
目の前の黒羽に対して、そう言葉を返し
対する黒羽は、一瞬目を丸くしながらも
「あァ…だから…、確かに…匡近っぽくないなって思った物…ありましたよ。」
「あれ…アンタからだったんですね…、」
かつての記憶を思い起こしながら、ゆっくりと瞼を伏せ
「___4月1日、」
「嘘吐きな私には…ぴったりの誕生日でしょう、」
「聞いたからには、覚えて帰って下さいね。」
そう告げると同時に、不死川の方へと背を向けて
「不死川さん、早く行きますよ。」
そう声を掛け、ふたたび屋敷の方へと歩き出す。
「(貰えるうちに…貰っておこうかと思ったんですけどね…。)」
黒羽が僅かに視線を落としながら、そんな事を思う中
不死川は先を行く黒羽のもとへと歩み寄り、
「お前…何か欲しい物あるかァ」
「アンタ、流石に気早すぎですよ…こういうのは誕生日近づいてから聞いて下さい。」
そう尋ねる不死川に対して、黒羽は言葉を返した後
「あ…そうだ、不死川さん。そういえば…まだ言ってませんでしたね、___」
「不死川さん、誕生日…おめでとう御座います。」
ふっと微笑みながら、そんな言葉を不死川へと投げ掛け
「…おう、ありがとなァ___」
不死川は黒羽の言葉と笑顔に返すようにして、そう告げた後
穏やかな風に吹かれながら、黒羽と共にその場を後にした。
⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀⠀【end. 11月29日】
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作者名:雫 | 作成日時:2023年11月29日 0時