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(不死川 side)
アイツに連れられ食事処へと出向き、
顔を合わせながら、いつものように食事をしていると
「…どうしたァ、俺の顔に何かついてるかァ」
アイツは机上に頬杖をつきながら、俺の顔をじっと眺めており
「いえ、何も。そんな事よりそれ、美味しいですか?」
「あァ…美味ェけど、?」
そう返答すると、アイツは「そうですか」と一言返したかと思えば
「あ、お姉さん。これとこれ追加で頼みます、」
店の女を呼び止め、次々と追加の注文を頼み始める。
…気づけば俺の目の前には、大量の食事が用意されており
「どうぞ、食べて下さい。」
アイツは特に手を付ける事なく、ふたたび頬杖をついて俺の様子を眺めるだけ。
「(何だァ…これ、新手の嫌がらせかァ…?)」
そんな事を思うと同時に、差し出された数々の料理へと目を向けて
「(コイツ…絶対、値段見ずに頼んでるよなァ…。いくらすると思ってンだァ…__)」
…どうせ今日も、会計は俺が持つ事になるんだろうと思っていたのも束の間。
「お会計なら…事前にお連れ様からいただきましたよ。」
「…は、」
会計時、店の女にそんな事を言われ…思わず気の抜けた声が漏れてしまう。
アイツはというと、一足先に店の外へと足を運び
「不死川さん、何してるんですか。早く行きますよ、」
暖簾をたくし上げながら、そんな言葉を俺へと投げ掛ける。
その後、アイツに連れられ向かった先は
「…次、これ着てみて下さいよ。それ終わったら、今度はこっち___」
「オイ、俺ァ着せ替え人形じゃねェンだぞォ…」
男物が並ぶ呉服店へと訪れ、次々と着物を手渡される。
「(前…開いてねェと落ち着かねェ…。)」
手渡された衣服を試着し、そんな事を思っていると
「なんか…アンタ、あれですね。服ちゃんと着ると違和感あるというか…」
「…変態は変態らしく、露出度高めの服の方いいんですかね。試しにこれとか___」
アイツに声を掛けられたかと思えば、先程までとは毛色の違う衣服を手渡され
「ふざけんな、誰が着るかァ」
そう吐き捨てると同時に、手渡された衣服を床へと叩き付ける。
アイツは俺に着せたいだけ服を着せた後、
「とりあえず…似合ってそうなの一点買ったので、非番の日にでも着てくださいよ。」
そう言って衣服が折り畳まれた、紙袋を俺へと手渡す。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年11月29日 0時