【黒バス】夏のはじまり、恋のはじまり【黄瀬涼太】

恋は欲張り ページ46

黄｢それに、なにかしてもらうってだけじゃなくて…｣



黄瀬の声はドアが開く音で中断された



担任が教室に入ってきたのだ



続きを促すように隣を見ると、涼太くんが深呼吸をするのが見えた



黄｢俺さ、Aっちと話すと元気出るなーって思ってたんスよ。笑った顔とか、レアだし｣



言ったそばから照れくさそうに顔を赤く染める涼太くん



『いや、そんな…私の方こそ…』



何か言わなきゃと思うのに照れてしまってうまく言葉が出てこない



黄｢今日もこのあと部活あるんスよ。でもAっちのおかげでやる気でたっス｣



Aは鏡の前で練習したようにゆっくりと口角をあげる



『よかった』



黄｢あ、Aっちの笑顔見れた！なんかいい事ありそうっス｣



笑い返してくれる涼太くんを目に焼き付けながら膝の上にある手をぎゅっと握りしめた



HRが終わったら、夏休みだ…



夏休みが明けないと、涼太くんには会えない



付き合ってないし、遊ぶ約束だってしてないから当然なのに、どうしようもなく胸が痛んだ



恋をすると欲張りになるのかな



私は涼太くんの役に立てていた



それだけで涙が出そうになるほど嬉しいのにもっともっとと望む自分がいる



胸の中で何かがじりじりと焦げていくような気がした



まるで真夏の太陽の下にいるときのように

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