【黒バス】夏のはじまり、恋のはじまり【黄瀬涼太】

繋いだ手 ページ35

私はトラックの内側に入り、リレーが終わるまで座って待機する



カーブでD組を抜き、一位になった



やっぱり、涼太くん速いなぁ



そのまま1位を守って次の人にバトンを渡す



観客席がわあっと盛り上がる中、涼太くんはこちらに向かってきた



『涼太くんお疲れ様』



黄｢…うん｣



返事はしてくれるけど視線は合わない



気のせいでなければ、私の足元を見ている



黄｢Aっち、さっき足捻ったっスよね｣



保健室行こう、と手を引かれる



確かにさっき捻ったけれど保健室に行くほどではない



今は少し違和感を感じるくらいだ



『こんくらい大丈夫』



黄｢だめ｣



『まだリレー終わってないし、座ってたい』



黄｢そんな事言ってる場合じゃないっスよね｣



怒鳴られたわけではないのに思わず肩をびくっと震わせた



涼太くんのこんなに低い声を聞くのは初めてだ



黄｢…ゆっくりでいいから、歩ける？｣



『…うん』



渋々頷いた私の手を涼太くんがつかんだ



黄｢行くっスよ｣



強く手をひかれるけど、歩く速度はゆっくりだ



繋いだ手が気恥ずかしくて、じっと見てしまう



涼太くん、手大きい…



Aの手はすっぽり包まれている



大きさも厚みも、倍はある



そんな場合じゃないのにじっくり観察してしまった



いつもは犬みたいな涼太くん。当たり前だけど、やっぱり男の子なんだな…



意識した瞬間、鼓動が大きく跳ねた

優しさ→←バトン

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