なぜか、私があのアイドル全般のメイク担当になった。4 (ページ8)

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107、ほんとの修羅場ページ8

「わかってるじゃない。―――藤咲Aさん☆」

　その言葉に、ゾクッとした。

　憎しみ、嫉妬･･･そんな全てが混ざり合ったかのような。

　嫌な方向に絶対今曲がりつつある。

　
　やっぱり、私だったのか･･･！

　なにを伝えに来たの･･･？？

　でも、どうやってここまで？

　アリサさんのことだ。嵐の位置を嗅ぎ回ってるのかもしれない。

　
　
　アリサさん―――本名、鈴澤アリサ。

　かつて子役の『赤羽見アリサ』だった。

　私の子役時代の友人。

　事務所も一緒で。
　
　あんまり、仲はよろしくなかったけど･･･。

　なんだろう、この気まずい空気･･･。

　なにか、言わなきゃ！私が！

　そう思った瞬間に、違う人の声が聞こえた。

「Aに、なんか用？」

　酷くいらだっている声の―――二宮さんだった。

　え、どうして二宮さんが･･･！？

　しかも、名前呼び捨て。

　これは･･･アリサさんの嫉妬を買うに違いない･･････！

　
「ええ～？二宮さん。ってゆーかニノぉ～！呼び捨てはないんじゃ―――」

「あ？お前今なんつった？誰が俺のこと『ニノ』って呼んで良いつった？」

　アリサさんの言葉を遮ってドスの効いた声を出した二宮さん。

　その場にいた全員が、凍り付いたと言っても過言ではないだろう。

　そこで、私はハッと思ったことがあった。

　私も、二宮さんのことを『ニノ』と呼んでしまったことが、一度だけあった。

　でも、そのときは全然怒らなかった。

　どうして、なんで二宮さんはそんなに怒っているの？

「まっまあニノ？落ち着こう？ね？」

　相葉さんが二宮さんに呼びかけた。

　相葉さんが言えば、少しは―――！

　そう思った矢先。

「相葉さん･･････ごめん、コイツだけは許せないから」

　どうして･･･！？

　なにが、なにがあって二宮さんはそんなに怒ってるの？

　なんで･･･！！

　
「藤咲さん。大丈夫？震えてるよ？」

　柔らかく、良い匂いがした。

　その優しい声の主は、櫻井さんだった。

　そうやって心配してくれる櫻井さんだから、気持ちが緩んでしまう。

「だっ大丈夫です、櫻井さん。心配してくれて、ありがとうございます･･･」

　あれ。
　
　さっきの、自分の声だよね。

　あれ･･･？

　
　その私の声は、酷く震えていてた。

　