なぜか、私があのアイドル全般のメイク担当になった。4 (ページ26)

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125、よけーな迷惑ページ26

「･･････え？」

　櫻井さん･･･？

　先ほどまでいた櫻井さんじゃなく、まったく別の人のような顔をしている。

　そうだな、言うなれば･･･。

　
　赤ずきんを襲う、オオカミみたいな。

“今は、どこにもAを行かせないよ？”

　
　全身が凍り付くかのような、そんな感覚。

　ドキドキいって収まらない、心臓。

　これはほんとに櫻井さんなの･･･？

　
　しかも、今まで『Aさん』と私のことを呼んでいた。
　
　それが一変し。

　『A』と呼び捨てに変わっている。
　
　ど、どういう意味なの？

　すると。

「くっははは！やっぱ面白い、Aさん！」

　
　･･････え？

　さ、櫻井さん？

　さっきまであれだけオオカミのような目をしていたのに、今は。

　いつもの明るい櫻井さんの目だ。

「さ、櫻井さん･･･？」

　目の色が戻った、という安心はあるんだけど。

　今起きている状況がつかめない。

「ごめんごめん。つい。Aさんが可愛かったから」

　
　―――は、は、はぁ！？

　今、櫻井さん、今なんて！？

　笑いながらさらっとすごいことを･･･。

　か、かわい･･･って。

　まぁそんなわけ、ないけどね！

　こんな一般庶民の私を、まさかね！

　
　
　･･････ん？

　なんか私、肝心なことを忘れてないか？

　

　
　―――･･･あ。

　
　
　
　部長･･･部長のことだぁーっ！！

　やっば、完全忘れてた！

　馬鹿、なにやってんの私！

「櫻井さん、あの･･･」

「私の事務所の部長が交通事故で倒れた、でしょ？」

　
　
　え。

　なぜご存じで･･･！？

「ごめんね、さっきの電話、聞こえてたんだ」

　
　･･･ありゃりゃ。

　ってか、余計な心配かけてらんない！

　
「すみません櫻井さん、急遽そっちにいかなきゃならなくなって―――」

「ねぇ、その電話してた相手って･･･」

　
　え？

　私の言葉をさえぎり、櫻井さんが言った言葉は。

「浅泉秀翔･･･とかいうやつ？」