なぜか、私があのアイドル全般のメイク担当になった。4 (ページ25)

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124、こんな時に･･･！ページ25

「う、うわぁ･･･」

　なんと綺麗な部屋。
　
　やっぱり、トップスターアイドルは違うのか･･･。
　
　一般庶民の私なんかと、比べものにならない。

　オシャレにつるされたシャンデリアからは、今が朝になりかけていると告げられているような。

　無意識に回りを見渡していた。
　
　そんな光景を櫻井さんが見ていたのか。

「ふふっ。そんなに俺の部屋、すごい？」

　
「はい･･･！私なんかとは比べものになりません･･･！」

　本当に綺麗な部屋。

　私もこんな部屋に･･･。

「住んでみたい･･･」

　
　やば、声に出ちゃった。
　
　櫻井さんに聞こえてないよね？

　
「ふっ、なら一緒に住もうか？」

　
　―――は！？

　何言ってるんだ、この人。
　
　いや、冗談にも程があるんじゃないんですか！？

「なんてね。嘘だよ」

　
　･･････だよね。

　櫻井さんが、本気でそう思う訳ないよね。そうだよね。

　なーに勝手に妄想してんだ私は。

　
「いずれ、本気にするから」

　そう、櫻井さんが呟いていたとは、知らなかった。

　
　そんなとき。

　
　プルルルル･･･。
　

　聞き覚えのある着信音。

　ほんの小さな音だけど、私は察知できた。

「あ、すみません櫻井さん。私の携帯、知りませんか？」

　
「あー、そっちの部屋の、椅子の上だよ」

　そう言われ、その通りに行ったらほんとにあった。

　･･･じゃなくて、携帯。

「･･･え？」

　
　携帯の画面を見ると。

　
「秀翔くん･･･？」

　
　『秀翔くん』と書かれていた。秀翔くんは、私の事務所の後輩である。

　その子から電話がかかってきた。

「は、はいもしもし」

「あ、A先輩！？大変です！ぶ、部長が！」

「え、部長がどうしたの･･･？」

「―――いや、さっき知ったんですけど、」

　秀翔くんの珍しい焦った声。それだけの事が起きているのか？

「部長が運転してた車に、バイクが衝突って･･････」

「･･････え？」

　ちょっと待って、嘘でしょ？

「それで今、部長は！？」

「病院のベッドで眠ってます･･･。A先輩、きてください！」

　そのときの私に、迷いなんかなかった。

「―――わかった、すぐ行く」

　電話を切った瞬間。

　後ろを振り向いた時。

　ドアの縁に、櫻井さんがもたれかかっていた。

　すると、彼はこう言った。

　
「今は、どこにもAを行かせないよ？」