なぜか、私があのアイドル全般のメイク担当になった。4 (ページ24)

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123、優しい意地悪ページ24

「いえ、いいんです。その気持ちはありがたくもらっておきます」

　流石に、ご飯まで作ってもらうのなんか、申し訳ない。

　なさすぎる。

「え、いいの？」

「いいんです。本当に。申し訳ないし･･･」

　
　ここにいるのも、申し訳がない。
　
　早く帰った方が、櫻井さんにも迷惑がかからない。
　
　だから･･･。

　早く帰ろう。
　
　その方が絶対にいい。
　

「あと、私は帰った方がいいですよね･･･？」

　
　一番に思ったことを口にする私。
　
　すると、櫻井さんは。

「え、えっと･･･Aさんがそう思うなら。でも･･･

　始発の電車も、まだ出てないよ？」
　

　･･･え？

　慌てて、私はポケットにある携帯を確認する。

　そこに表示されていたのは･･･。

『０３：５８』

　うわああああマジかよ！
　
　まだ電車出てないじゃん･･･。

　そんなことより、確認せねばならないことが。

　
「あの、櫻井さん･･･ここって、何区ですか？」

「ええっとね･･･」

　すると、その区の名前は、私の住んでいるところの真逆の方向に位置していた。
　
　え、えー･･･。

　最低限、一時間弱はかかる。
　
　そしたら、どーしよ･･･。

「始発ので帰るの？」

　
　そう聞かれ。

「ええっと、まあ、そうですね」

　
　仮に始発ので帰らなくても、明日は休みだから、大丈夫だね。

「そっか･･･。そしたら、駅まで送るよ」

「え！？いや、いいですよ！ご迷惑だろうし･･･」
　
　優しすぎるの、櫻井さんは。

　意地悪っ気も、あった方が･･･。

　
「いいんだよ。送らせて？」

　
　いや、そんなところを盗撮されたら？

　そんなことを思い、私は口から言葉が出なくなる。

「報道なんちゃらは大丈夫。俺、慣れてるからさ」

　･･･かっこいいな。

　守ってくれる系男子だね、櫻井さん。

　惚れてしまう、一歩手前に私はいるのかな･･････。

　なんて思うと、櫻井さんは。

「とりあえず、こっちへ」

　
　と、ドアに手を掛けている。

　そ、そうだった。

　ここ、櫻井さんのご自宅なんだった･･･。

　通りで、オシャレだよね。

　私とは比べものにならないや。
　
　
「は、はい･･･！」

　
　櫻井さんに誘われ、ドアの方に向かう。
　
　ほんのちょっと迷いがあったけれど、私は思い切ってついていった。

　
　