なぜか、私があのアイドル全般のメイク担当になった。4 (ページ12)

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111、約束ねページ12

「･･････」

　な、なにこの気まずい空気！

　すべて、この発端は私だ。

　私がいなければ、もう少しなにかが変わってたかもしれない。

「あ、あの･･･すみませんでした！」

　自分でも、どうして謝ったかなど、わかってない。

　なんで私は謝ってるんだ？

　私は、なにか悪いことでもしたのか？

　そんなことを思っていると。

「なんで？ Aはなにも悪くないじゃん」

　神様が、舞い降りた気がした。

　そんな救いの言葉をくれたのは―――。

「二宮さん･･･？」

　さっきのアリサさんと話していたときとまったく違う。

　私には、優しく笑いかけてくれる二宮さん。

　なんだろう、この優越感。

　ば、馬鹿、優越感なんて思うな！！

「Aさん、帰ろうか」

　
　･･･え？

　この状況で、それ言います？櫻井さん？

　今この場から立ち去ったら、いや普通に考えてダメでしょう。

「ね？行こう？」

　なんか･･･頷いてしまったら自分が嫌な方向に流れそう。

　櫻井さん、私に、私なんかに優しくしないでください･･･。

　すると。

「はあ･･･翔さん、今日は譲るよ。しょうがないなあ」

　ムスッとした顔で言い捨てるように言ったのは二宮さん。

　
　･･･なにを譲るんだ？

　私にはまったく理解不能ですね、はい。

　すると次に言葉を出したのは、松本さんだった。

「ねえ、藤咲さん。あのアリサちゃんとなにかあったの？」

　―――えっ。
　
　サーッと血が引いていく感覚がした。

　一番訊いて欲しくない言葉だった。

　
「え･･･いや、なんにもないですよ」

「嘘バレバレー。ほんっと嘘つくの下手だよね藤咲さんは」

　
　そ、そうかな･･･？？

　っていうか嘘つくのがうまくてなにになるんだろうか？

　そんなことを思うと。

「あとで、きちんとお話します」

　･･･は？え？
　
　そんなことを言っている―――自分がいた。

　自分の意図なく勝手に動いたんだよ、口が。

　ど、どうすんのよ、これじゃあ･･･。

　絶対に話さなきゃいけない感じになってるじゃん･･･！！

　これだから私は･･･。

「約束ね」

　松本さんにそんなことを言われた。

　ドキッてなった。
　
　心が。

　カーッて顔が赤くなっていることも分かった。

　
「し、失礼します！！」

　早くこの場から立ち去りたい。
　
　それを強く願って。

　櫻井さんと一緒に部屋を出た。
　