07.露見 ページ9
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「……オマエ、何やってんの?」
彼らの通う中学校から少し離れた人通りのさほど多くない脇道。
4月だというのにお日様の主張がこれでもかというくらいに激しいある日のこと。
そこにはヤンキーを2人ほどはっ倒し、達成感に溢れかえっていたところでまさかの
ことの発端はAがヤンキーに絡まれたことから始まる。
『あっついな…』などとボヤきながら道を歩いてたAは「じゃあ俺らと涼しいとこでお茶でもしよーよ」なんてもはや彼女にとってはテンプレかというくらいに聞き飽きた誘い文句で2人組の男に絡まれていた。
こんな時、少女漫画だったらタイミング良く好青年が颯爽と現れてチンピラを撃退してくれるのがセオリーだ。
ある意味巻き込まれ体質のAは、自分もヒロイン気質はあるはず、と信じている節がある。いかんせん彼女もまだ女子中学生、理想の救世主を夢見ていたりいなかったり…。
しかし悲しきかな、彼女のピンチに駆けつけてくれるヒーローが現れる気配は未だ一向にない。
けれど、そんなことでめげるAではない。
救世主が現れないのなら、自分がヒーロー役も務めたらいい。1人2役上等。それが彼女のスタンスだ。
『鏡見てから出直してこい、あと全てにおいてセンスがない』
「あ?随分言ってくれんじゃん。チョーシ乗ってんじゃねぇよ」
『ほら、そーやってすぐ手上げようとするとことかダサすぎ』
そうして、言うが早いが上段回し蹴り、からのアッパーをキメて、今日も今日とて自己防衛。
元々の運動神経と動体視力の良さ、そして負けず嫌いと敵対的な態度が災いしそれなりに場数を踏んでしまっていることで得た彼女の強さは、並大抵のヤンキーは自力で太刀打ちできるほどになってしまった。
そんなこんなで襲いかかってきた男達に1発KOを喰らわせたAは、清々しい勝利の余韻に浸っていた。
そして気分が良いまま帰ろうと一歩足を踏み出したところで背後から声をかけられ、冒頭に至る。
『……えっと』
Aは頭をフル回転させ、この現状を打破しようと試みるが、混乱している頭では何一つとして言葉が出てくるはずもなく。冷や汗がとめどなく流れるのを、彼女は止めることができなかった。
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玲 - おもろい✨続き楽しみにしてるます! (3月29日 19時) (レス) @page16 id: ed098355db (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます、励みになります!ぼちぼちの更新になりますが頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2023年3月16日 21時) (レス) @page15 id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください😆 (2023年3月16日 8時) (レス) id: ca28bfbf34 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 甲賀忍者さん» 甲賀忍者さん、嬉しいお言葉ありがとうございます!更新スローペースですが気長にお待ちいただけたら嬉しいですm(__)m (2022年8月29日 1時) (レス) id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 面白いです!留年コンビいいですね!応援させて下さい! (2022年8月27日 14時) (レス) @page8 id: 75f75dc2eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2022年7月14日 16時