episode69 ページ23
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「……へぇ、君が此処に来るなんて思ってなかったよ」
その日はよく晴れた日だった。雲一つない青空に心地よい風が吹いていた。だから、今日だと思った。彼に会いに来るならば今日が良いなと。それなのに…。
『私も真逆こんなところで貴方に会うとは思いませんでした、太宰さん』
教会前の小さな墓地。両親の顔も知らないしキョウダイの墓の場所だって知らない。でもたった一人。織田作之助だけには、ごく稀に挨拶をしにいきたくなる。それは彼の命日でも月命日でもなく私の気が赴くままにほんの少しの時間で、いつだって私が此処に来るのは突然だ。……此処に来ると気持ちが落ち着くから。
…だというのに会いたくない人にまで遭遇してしまうなんて、悉く運が無い。最近本当にこういう事が多すぎる。
『……そこ、どいてください。邪魔です』
墓石に凭れかかりぼんやりと空を見上げている太宰さんを白眼視する。……あくまで淡々と。平静を取り繕って、心の内の動揺を悟られないように。
「未だ此処に来る事が君にもあったんだね。織田作のこと、Aはとっくに過去の人になってると思ってたよ」
『……自分だけが彼に影響されたとか彼を認めていたとか。そういう思い上がり、やめてください』
「相変わらずほんっと可愛くない。織田作の前でくらい、猫かぶってればいいのに。そもそも君は中也一筋人間だったんじゃないの」
少しムキになったように言葉を捲し立てる太宰さんは、まるでお気に入りの玩具を取り上げられた幼子のようにも見える。嗚呼そういえば、この人も頗る面倒臭い人だったな。
『確かに私の全ては中也さんで、それは今後どんな事があっても絶対変わりません。でも……昔私に影響を与えてくれた人、大事な人は───私の中で潰えることはないから』
ザワリ、と一際強い風が吹いた。靡く髪を押さえて、顔を顰める。乱れた髪を、耳に掛ける。そのほんの一瞬、横目で見た太宰さんは面食らったような表情をしていた。
『……』
瞬きした次の瞬間にはいつもの飄々とした彼に戻っていたから、気のせいかもしれないけれど。
『もう4年、か…』
「月日が経つのは随分と早いねぇ。そして、もうすぐ6年だ」
口を挟み横槍を入れてくる太宰さんに、思わず顔が歪む。
私の言った4年は“織田作之助が殉職”してから経った年月。
そして太宰さんの言った6年は……
『私がポートマフィアに出会ってからもうそんなに経ちますか』
どうやら太宰さんは、昔話をご所望のようだ。
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暁月臨(プロフ) - きなこもちさん» きなこもちさんのペースで頑張って下さい！！ 気長に待ってます！！(*≧∀≦*) (6月21日 21時) (
レス) id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 暁月臨さん» 暁月臨さん嬉しいお言葉ありがとうございます、更新止まり気味ですがそう言ってもらえるととても励みになります！頑張りますm(_ _)m (6月21日 18時) (レス) id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - この作品大好きです！更新よろしくお願いします！！頑張って下さい！！！ (6月18日 23時) (レス) @page20 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - きなこもちさん» 了解しました! (2021年11月11日 12時) (レス) id: 3c71f1d526 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - ミミさん» 私の端末が最近重くてボード開かないので、確認出来次第お返事します、すみませんm(_ _)m (2021年11月11日 0時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこもち | 作成日時：2021年9月23日 20時
