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episode65 ※ STORM BRINGERキャラ有 ページ19




「…しかし驚いたな」

彼───ヴェルレエヌは一切の迷いなく急所のひとつである喉頭めがけて間合いに踏み込んでくる。その手に握られているのは、鈍く光る小刀……ではなく、可塑物(プラスチック)性の玩具。

「突然訪ねてきて熱烈な告白をしてきたかと思えば、真逆手取り足取り面倒を見てほしいと乞われるとは…」

『語弊が過ぎます…。私は只、貴方に特別講義を行ってほしいとお願いしただけです』

ヴェルレエヌの一振りを上体を逸らすことで何とか躱しつつ、彼の言葉を否定すれば「それは大して訂正されてないけどな」などと苦笑いを浮かべられる。


『細かいことはいいです。結果、こうして手合わせ頂けてるのですから』


云いながら彼の腹部にギラリと光る刃物を当てる。ピタリと相手の動きが止まったことで、己の勝利を確信する。


『……っ』


けれど気を緩めたのも束の間、自身の左鼠蹊部に当てられた冷たい感触に気づき、それはぬか喜びだと思い知らされる。


「流石、筋が良いな」

『……もう一度、お願いします』

「遠中短距離、訓練され続けた(・・・・・・・)…そうでなくとも、今の君なら、態々俺に教えを乞う必要などないだろう。……何故そこまで?」

『……』

何故、だなんてそんなの決まっている。
あの人のために、強くなりたいから。ただそれだけ。


けれど、ポール・ヴェルレエヌが問うているのはその先の答え。


「…あいつはそんなこと求めてないと思うがな」

『私だって自己満足に過ぎないことは理解してます。だけど、私はもう後悔したくない』

「後悔、か」


太宰さん(彼の人)は云った。
まもなく来る“本当の厄災”。その為に、新しい双黒を育てると。
それはつまり、あの太宰治を持ってしても手に余る存在の何かが今後この街に来るということ。





その時、私に何が出来る?


中也さんの為に、なんて烏滸がましいことは云わない。結局の処それすらも自分の為なのだから。


それでも何もできなかった、できないなんて思いたくなどない。
これ以上、中也さんに縋りつくだけの自分ではいたくない。


『昨晩、中也さんが私のことを大切に扱ってくれてるって、改めて思い知らされました。なら、私は中也さんに大切にされるだけの価値がほしい』

「なかなか面倒くさい人間だな、君も」


そう云いつつも再び間合いを取り始めてくれるのだから、ヴェルレエヌも面倒見のいい人なのだろう。






「……これは、中也も苦労するな」

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暁月臨(プロフ) - きなこもちさん» きなこもちさんのペースで頑張って下さい!! 気長に待ってます!!(*≧∀≦*) (6月21日 21時) (レス) id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 暁月臨さん» 暁月臨さん嬉しいお言葉ありがとうございます、更新止まり気味ですがそう言ってもらえるととても励みになります!頑張りますm(_ _)m (6月21日 18時) (レス) id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - この作品大好きです!更新よろしくお願いします!!頑張って下さい!!! (6月18日 23時) (レス) @page20 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - きなこもちさん» 了解しました! (2021年11月11日 12時) (レス) id: 3c71f1d526 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - ミミさん» 私の端末が最近重くてボード開かないので、確認出来次第お返事します、すみませんm(_ _)m (2021年11月11日 0時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年9月23日 20時

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