episode38 ページ40
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「どいつもこいつも死になさいよ!」
堕姫がそう叫びながら無数の帯を放ってくる。
が、その攻撃が此方に届くことはなかった。
「善逸!!」
炭治郎がそう叫んだ時には既に、我妻くんが堕姫を屋内から屋根上へと弾き飛ばした後で。
「
そして、その直後に嘴平くんが威勢よくそう指示を出して我妻くんの援助へ向かうので必然的に私と宇髄さん、そして炭治郎で妓夫太郎の相手をすることになる
『……』
向かい合ったことで、改めて感じる強い殺気。
全身に鳥肌が立って、バクバクと煩く心臓が鳴る。
“毒が回って丁度いいくらい”なんて言ったけれど、相手は上弦。実際は宇髄さんでなければ即戦線離脱してしまうような強い毒だろう。
今、一番動けるのは私だ。
私が、しっかりしなければ。
そう思った次の瞬間には妓夫太郎が距離を詰めてきていて。奴は炭治郎の顎を下から鎌で貫こうとする。
奴の鎌があと数センチの距離にあるというのに、炭治郎はその場を動こうとも攻撃を避けようともしない。
…否、避けられないのだ。反応が、出来ていない。
『っ……』
炭治郎の首根っこを掴み上げ、後方へ放り投げる。
かろうじて奴の攻撃を回避させることは出来たものの
毎回こう上手くは庇えない。
『…立って』
宇髄さんが奴に連撃を与えてくれている間に、後方で転がる炭治郎に声をかける。
『役に立とうとか、自分でどうにかしようとか思わなくていいから』
「……すみません」
『謝る必要はない。…勝つことだけ、考えて』
「っ、はい!!」
炭治郎が刀を握り直したのを確認し、宇髄さんの加勢に加わろうとしたところで、天井を突き破って鋭く此方へ向かってくる無数の帯がそれを邪魔する。
『…っ、』
帯を斬りつけながら宇髄さんと距離を詰めるも、激しく攻防の続いている二人に迂闊に飛び込むことは出来ない。宇髄さんとは一度手合わせしているとはいえ、動きの全てを把握しているわけではない。さらに帯で周囲が見えにくくなってしまえば、加勢のタイミングも難しい。
「クククッ、継子ってのは嘘だなあ。お前らの動きは統制が取れてねえ。全然だめだなあ」
見透かしたように、妓夫太郎が愉快そうに笑う。
『…今頃気づいたの。とっくにバレてると思ってたけど案外単純なんだ』
そう笑い返せば、奴はイラついたように頭を掻きむしった。
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きなこもち(プロフ) - ひかるさん» 観閲ありがとうございます、とっても嬉しいです! (2022年5月8日 19時) (レス) @page50 id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - すごく面白いです! (2022年5月8日 15時) (レス) @page25 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - いいさん» いいさん嬉しいお言葉ありがとうございますm(_ _)m。マイペース更新ですが頑張りますのでこれからも見ていただけたら嬉しいです! (2021年10月19日 15時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
いい - 一瞬で心鷲掴みにされました!応援してます!頑張ってください! (2021年10月17日 9時) (レス) @page47 id: ac051c4e24 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 凌雲さん» 嬉しいコメントありがとうございます!とても励みになりますm(_ _)m (2021年9月23日 10時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年4月5日 17時