episode36 ページ38
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この鬼の頸を斬ったのは、禰豆子に刀を向ける前。
もう、かなりの時間が経っているというのに。
どうしていつまで経ってもこいつは消えない?
上弦の鬼は体の崩壊が遅い?
いや、そもそも弱すぎるこいつが上弦の訳がない。
嫌な汗が頬を伝った。
「お兄ちゃああん!!」
そう叫んだのと同時に、そいつの背中から
瞬時に宇髄さんとそいつに向かって斬りかかるが、見事に避けられた。
背中から出てきたのはもう一体の、鬼。
「泣いたってしょうがねぇからなああ。頸くらい自分でくっつけろよなぁ、おめぇは本当に頭が足りねぇなぁ」
『……っ』
禍々しい気配と、強く濃く感じる強者の圧。
間違いなく、こいつが上弦の鬼…
「お兄ちゃん、コイツらだけじゃないのよ、まだいるの!!アタシを灼いた奴らも殺してよ、絶対!」
「俺の可愛い妹が足りねぇ頭で一生懸命やってるのをいじめるような奴らは皆殺しだ」
『……』
この鬼は兄妹。兄の方が本体なのか…?
兄の頸を斬れば両方消える…?
それなら“足りない頭”の妹を取り込まない理由は?
「集中しろ、来るぞ」
『…はい』
「やられた分は必ず取り立てる。死ぬときグルグル巡らせろ、俺の名は妓夫太郎だからなああ」
直後、鋭い斬撃が襲ってくる。
辛うじて躱したものの、次も喰らわずにいられる自信は正直ない。
妓夫太郎の攻撃の威力は凄まじく、建物の壁は容易く吹っ飛ばされ、逃げ遅れた一般人を庇った宇髄さんは深傷ではないものの額に傷を負った。
『っ宇髄さん、』
「これくらい何ともねぇわ」
「妬ましいなぁあ、お前本当にいい男じゃねぇかよなあぁ。人間庇ってなぁあ、格好つけてなぁあ。そいつらにとってお前は命の恩人だよなあ、さぞや好かれて感謝されることだろうなぁあ」
「まぁな、俺は派手で華やかな色男だし当然だろ。女房も三人いるからな」
『……』
今まで、失礼だと思いながらも何度かこの人の頭のネジが外れているのではと危惧してきたが、今この瞬間確定した。これは確実に頭のネジが飛んでいる。数十本単位で飛んでいる。
どうして相手を煽ることばかり口にするんだこの人
どう考えても相手は格上、勝てる保証など無いのに怒らせてどうする
不意に、大きな手が頭に乗せられた。
そしてその手は遠慮なく左右を行き来する。
それは、いつも通り過ぎる宇髄さんだった。
「安心しろA。勝つぞ、ド派手にな」
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きなこもち(プロフ) - ひかるさん» 観閲ありがとうございます、とっても嬉しいです! (2022年5月8日 19時) (レス) @page50 id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - すごく面白いです! (2022年5月8日 15時) (レス) @page25 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - いいさん» いいさん嬉しいお言葉ありがとうございますm(_ _)m。マイペース更新ですが頑張りますのでこれからも見ていただけたら嬉しいです! (2021年10月19日 15時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
いい - 一瞬で心鷲掴みにされました!応援してます!頑張ってください! (2021年10月17日 9時) (レス) @page47 id: ac051c4e24 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 凌雲さん» 嬉しいコメントありがとうございます!とても励みになりますm(_ _)m (2021年9月23日 10時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年4月5日 17時