episode32 ページ34
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目の前には、白粉を塗りたくったお世辞にも整っているとは言えない新米遊女達。
名を炭治郎、善逸、伊之助改め炭子、善子、猪子という。
「お前らには俺の嫁を探してもらう」
宇髄さんがそう高らかに宣言したのはどのくらい前だったか。
ろくに話を聞かない上に終始逆ギレをかましていた我妻君と、途中まではおとなしかったが最後の最後で言ってはいけない一言を言い放った嘴平君は暴挙を振るわれ、炭治郎と一緒に三人仲良く女装させられていたのは中々に不憫であった。
遊郭に潜入するために隊士から遊女へと変貌を遂げてもらった彼らには悪いが、この作戦は早々に切り上げた方が良いのかもしれない。
「ちょっとうちでは…。先日も新しい子入ったばかりだし悪いけど…」
案の定、容姿端麗と言えない変化を遂げた三人は何処も門前払いである。
怪しい店は既に三つに絞り込んである為、そこに上手く三人を配分するだけなのだが、中々先に進まない。
「…てめぇえらほんとダメだな」
『……私が、代わりに潜入しましょうか』
「お前一人潜入できても残り二人決まんなきゃ意味ねぇよ。それに、後々冨岡がめんどくせぇから却下」
『義勇は関係ないですけど…?』
「……あっそう」
呆れ顔を隠しもせずため息をつく宇髄さんは、頭を掻きながら「仕方ねぇなぁ…」とぼやくと何故か私と炭子の腕を掴み、先ほど門前払いされた“ときと屋”の方へと歩いていく。
『……えっと、』
「俺とお前で炭子、善子、猪子を雇わせるんだよ、ド派手にな」
そこから先は早かった。
宇髄さんが顔の良さを生かして女将さんに上手いこと言って、次々に三人の就職を決めさせていった。
おかげで遊女達の間で「もんのすごいいい男と美人な若い子が不細工な子を店に連れてきて、楼主と遣手婆もポッとなってつい引き入れちゃったらしいよ」との噂が立ち昇ることとなるのだが、これはまた別の話。
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きなこもち(プロフ) - ひかるさん» 観閲ありがとうございます、とっても嬉しいです! (2022年5月8日 19時) (レス) @page50 id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - すごく面白いです! (2022年5月8日 15時) (レス) @page25 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - いいさん» いいさん嬉しいお言葉ありがとうございますm(_ _)m。マイペース更新ですが頑張りますのでこれからも見ていただけたら嬉しいです! (2021年10月19日 15時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
いい - 一瞬で心鷲掴みにされました!応援してます!頑張ってください! (2021年10月17日 9時) (レス) @page47 id: ac051c4e24 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 凌雲さん» 嬉しいコメントありがとうございます!とても励みになりますm(_ _)m (2021年9月23日 10時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年4月5日 17時