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episode14 ページ16




太宰さんと別れた後 なんとなく帰りにくくて街中をぶらついていた所で 姐さんから【中也危篤】と連絡を受け 急いで本部に戻ったところ 其処に居たのは大量の空き瓶を抱えこんで熟睡している中也さんで。


【手に負えんから後は頼んじゃぞ】

と、再び姐さんから連絡が入ったのと同時に てっきり襲撃に遭って重傷を負わされたと思い込んでいた私は思わず腰を抜かしてしまった。


『いや、姐さんわかりにくいですって…』

まぁ勝手に勘違いした私も十分悪いのだが。


とは云えこのまま中也さんを放置する訳にはいかない
とりあえず、完全に酒に溺れて熟睡中の此の人を起こさなければ。


『あの、中也さん…?』

遠慮がちに名前を呼び ソファーの肘掛に預けている身体を揺すると うぅ、とくぐもった声を漏らす中也さん。


…ここまで酔い潰れてる中也さんを見るのは久しぶりだ。
正直 写真に収めたい衝動に駆られたが なんとか我慢して名前を呼び続ける。



「んぁ?…A…?」

『おはようございます。水、飲めますか?』

暫くして うっすらと目を開けた中也さんに安堵しつつ すかさず水の入ったコップを渡す。

「あぁ、悪りぃ…」

ゆっくりと上体を起こした中也さんはこれまたゆっくりとした動作で水を飲み 再びソファーへ沈んでいく。


…これだけの量のお酒を飲めば当然かもしれないけど、此れはまともに会話できる状況じゃないなぁ。
ただでさえ此の人はお酒に弱いし。



最適解を導こうと色々と思案していたが 静かな室内に再び寝息が聞こえ始めたことで 私は思考を停止。



そして 携帯を取り出し姐さん宛にメッセージを作成。

【援護要請頂きましたが力及ばず。なので此のまま寝ます。おやすみなさい】

先程我慢できずに無音カメラで連写した写真の中から数枚を抜粋し、添付してから送信


中也さんを本当の弟のように可愛がっている姐さんに幸せのお裾分けである。


最後にもう一枚だけカメラに寝顔を収めさせて頂いてから 自室から毛布を2枚取り出してきて 一枚を中也さんに。

酔っ払いでもあくまで上司、敬愛している中也さん、ということで私は毛布に包まり床で寝させていただきます。


この調子だと、きっと中也さんは朝まで起きないだろうから 早朝、中也さんが起きる前にテーブル上の空き瓶を片付けて 水とお風呂の準備をしておこう。



この後私の予想が裏切られ 中也さんの驚きと怒りと羞恥の混じった叫び声が拠点に響き渡ることを、私は未だ知らない。

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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時

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