夜空に溶ける～あなたの番です～ (ページ20)

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事件19件目ページ20

神谷「Aさん！」

今日はいつも通りだったら神谷さんとデートだったのに
運が悪いのか
元カノだろうか
それとも今付き合ってる人だろうか
だめだ
考えれば考えるほど辛くなって
目がクラクラしてじんわりと熱くなってくる
震える手が抑えられなくて
とりあえずこの場から逃げようと思ったけど
今日はだめだ悪運すぎる
気づかれないうちに立ち去ろうと思ったのに
私が好きな彼の瞳が私を写した
ああ
今見てほしいんじゃないのに

「あ、えっと」

「ごめんなさい」

言葉が出てこない
見ないで見ないで
そんな顔でこんな醜い私を見ないで
背中に視線を感じながらとりあえず一人になれる所に急いだ

「ごめんなさい。私、浮かれてました。神谷さんにとって私は特別だって思ってしまったんです」

「そんな確信はないのに、バカだなあ私」

一人になりたかった
それなのにあなたは何で追ってきたの
情けない私の顔を見るため？
やだな
そんな人だったの？

「本当にごめんなさい」

手の甲で口元を押さえて無理に笑顔を貼り付けた
泣くな
泣くな
今は泣いてはいけない
家に帰ろう
彼にはきっとさっきの可愛い女の人が待ってる
こんな所で時間を使ってはいけない
だけどせめて
ごめん遊びだったって一言言ってくれれば
なんて思って背中を向ける

神谷「Aさん！」

そう言って神谷さんは私の腕を掴む
涙で溢れそうなを見られたくなくて
掴まれたまま神谷さんの方は向かずに
神谷さんから出る言葉を待った

神谷「貴方だけです。側にいたいのも、一緒に笑い合いたいのも、素の自分を出せるのも」

神谷「好きです、貴方が」