響音 (ページ7)

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『田中さんのお腹、赤ちゃんがいますよ』

「……え？」

最初は何を言ってるのかが分からなかった

「だって、俺、男…」

『はい、詳しくは僕もまだ…
なぜ子宮があるのか、どのような経緯なのかなど調べなければいけません。この後もう一度先程とは違う検査をして頂き、その後産婦人科へ行って頂きたいです。』

そんな…

俺が妊娠…？

相手は、

あいつだよな

俺はどうすればいいの、正直認めたくない

妊娠なんて今の俺にとっては何も嬉しくない
グループに迷惑がかかるだけ

「あの…堕ろすのってどうすればいいんですか」

"妊娠"この言葉を聞いて急に怖くなった。
今まで感じてきた怖さとは全然違う。
俺一人で抱えられる自信がなかった

不安に押し潰されそうになり焦って言ってしまった

『お気持ちは分かります。ですがまずは田中さんの体のためにも、検査を受けて頂きたいんです。産むかどうかは別としてです。』

こうして俺は検査入院と題する2日間の入院生活を送ることになった

たった2日。俺にとってはしたこともない人生初の入院。
メンバー、マネージャーにはなんて言おうか

入院手続きの間、そんなことばかり考えていた

『樹くん、どうでしたか？』

静かな車内。マネージャーの声が響く

「うん、大丈夫だよ
特になんもなかった」

『そうですか、、なら良かったです。』

「あー…うん。
たださ、なんか完全復活するために明日から2日間だけ入院して欲しいって言われたんだよね」

『…え？大丈夫なんですか、それ』

「大丈夫よ、大丈夫。なんもないから」

『そう…ですか。

では明日と明後日の2日間のスケジュールは別日にずらしておきますね』

「うん。ありがとね」

言えるはずがなかった。

どうせ検査の後、すぐ堕ろすし。
この時の俺はそんなことしか考えてなかった