第16話─温もり─ ページ17
中也_side
優しさ。なんて俺にはねェが、目の前に弱ってる奴が居たら、助けたくなるのが性分でな。殺し屋のくせにって、よく彼奴にも云われたな。
目の前に似てる奴がいるが、其奴の弟で、その兄貴が俺と一緒にいた。
元相棒って訳だ。
その元相棒の弟がなァこんな、裏で弱ってるなんて俺しか知らない。彼奴みたいに躰中包帯だらけで。莫迦だな。
そして、処置した後は包帯を巻いた。痛くないように、力を入れすぎず。
けど、やっぱり包帯の巻き方に慣れてないから何処か歪になってまたやり直し、またやり直しをしてたせいで。
「プッ...あははは!ヒィっ、ははは」
急にAは吹き出して、腹を抱えて笑った。俺は其れが、腹たってイライラした。
「中也下手過ぎ!ひっ、ひぃ〜!あー面白くて、腹が捻れる!あははは、ククッ」
「死なす、絶てェ死なす、」
そう云いながらも頑張るが、Aは目に涙を貯めて顔を真っ赤にした。なんか、女みてェな表情に少し、怒る気も失せてきた。
「はぁ、御免ね、中也、嬉しいよ」
やっと巻き終わった時に、Aが俺に飛び込むように抱きしめてきた。
急に処理ができず、顔に熱が篭る。口をパクパクさせた。云いたい事が云えねェ・・・・・・。
「離せっ!手前、殺されたいかっ!!」
すると、耳元で鼻をすする音がした後、嗚咽が聞こえてきた。途端に、目を見開いた。
「手前、泣いてんのか」
Aの肩を掴んで顔を見ると、目に涙を貯めて、瞬きした時にポロッと涙が落ちて俺のズボンに滲みを作った。
「何で泣いてんだよ、泣くことなんてねェだろ、」
何も言わずに、俺の胸に顔を擦り寄せて泣いた。俺は恥ずかしいが、可哀想に見えて、
俺の背中に回る腕が強くなったのが分かった。太宰の野郎より、弱いな。躰も心も。弱くて何時か壊れるんじゃねェかって。部下の一人に銃を向けてた時も、本気で此奴は切れてた。だから、目なんか死んでた。太宰の奴より、冷徹で残酷って云われてんもんな。
弱い処、見せられなくなったんかな......。そばに居た奴も、此奴から離れて行ったんだよな、辛かったんだなァ......。
「ううっ、うぅ...っぁっ、ううっ...」
俺らしからぬ思いに自分でさえびっくりだ。だが、泣いてる奴なんてほっとけない。だから、何故か震える手でAの頭を撫でた。
あーーー!!!!!この俺が何やってんだか!!!!
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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年8月14日 0時