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第102話─薄暗く─ ページ7

安心感と嬉しさから込み上げてくる感情で溢れそうになる涙を堪えるのに必死だった。


「有難う御座います・・・・・・では、失礼します」



何故か刺された腕が傷んだ。姐さんや中也兄さんに云われたあの言葉を兄から訊きたかった。前みたいに頭を撫でて欲しいと。



何で、人って変わるんだろう。生きる事って本当に嫌い。兄みたいな存在、私みたいな存在がなければ良かったのに。




虚しくも、自分の執務室に戻り少し報告書を整える。書いていて、殺した事も書かなければならない。うーん、正直に書くか。



正直に異能で殺したことも書いた。そして、まぁまぁいい処になったら終わらして、兄の執務室に向かった。


本当は兄とあんな暴力喧嘩なんてしたくない。本当は兄に甘えたいんだ。抱きしめてもらいたいのに。自分がマフィアに入るってなったら、急に喧嘩腰にされて、自分だってイジめで精神が追い込まれてたのもあるけど・・・・・・あんな云い方ないだろ・・・。



そして、兄の執務室の前につき、足を止めた。緊張で引き攣る顔を無表情にさせて、息を整えて扉を叩く。



「はい、入り給え」


そう云われた。意を決して中に入る。久しぶりに入った兄の執務室。匂いも、雰囲気も変わってないけど、空気は前と変わって思っ苦しかった。




「お呼びに参上致しました。太宰幹部、御用件は」



他人として接する。マフィアに入れば上下関係をハッキリせねばならない。だから、兄は幹部。だから、敬語を遣う。



そして、呼んだ当の本人は此方を向きもせず執務室の机に腰掛けて包帯を巻いてた。


太宰「おや、以外に疾かったねえ、君の事だから来ないと思ってたよ」



「ああ、そうですか。じゃあ、用ないなら帰らせて頂いてもいいですか?」


彼に背を向けて、ドアノブに手を伸ばして、扉を開けたが。



太宰「誰が帰っていいって云った?」



急に冷たい声になり開けていた扉を閉めた。そして、兄の方に向いて此方を見てない。包帯に手間取ってるらしい。




自分は兄に訊こえないように溜息を零した。苛苛してる気持ちを落ち着かせて兄に近づく。そして、兄が巻いてた包帯の束を兄の手から奪い、巻いてあげる。

第103話─欠乏の愛情─→←第101話─黒い靄─



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華紅薇(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!そんな風に言っていただけるとすごく嬉しいです!この話も後編に移りますのでそちらの話もよろしくお願いします!読んで下さりありがとうございます! (2021年10月20日 11時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - この小説本当にめちゃくちゃ大好きです!そして今めちゃくちゃ続きが気になってます、!!なんかキリが悪い所でのコメントですが、応援していることを伝えたかっただけです!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月20日 2時) (レス) @page50 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/  
作成日時:2021年9月29日 12時

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