調査団 ページ2
「私、調査団に入る！そのためにこの村を出る！」
「んーっ…へぇ…ってえええ！？」
物凄い驚き方をするコウ。
そりゃあ、幼い頃からの友達に突然村を出ると言われたら驚くだろう。
「…正気…本気…何だよね？」
「うん。」
ポカンとした顔で問いかけるコウ。
私は本気だ。子供1匹で危険な目にあうかもしれない。でも、それを承知で言っていた。
「分かってるん…だよね？村の外が危険なこと。
それに、調査団は別名ギルド とも呼ばれているくらい、種類も人数も多いから、入れたとしても今後が保証されるわけじゃないことも。」
「うん。小さい頃から調査団に憧れて、それでこの事だって決めたんだもん。もちろん分かってる。
コウが1番知ってるでしょ？」
調査団…ギルドにはたくさん種類がある。
タイプが固まっていたり、高レベルばかりだったり、探索重視だったり…
その分もちろん人数も多いことも。
「まあ、小さい頃から一緒に暮らしてる親友だからね。でも、やっぱり、聞いておきたいんだ。
本当に村を出る気なの？父さんの…村長の事とかも考えて決めたんだよね？」
コウのお父さん…私をまるで本当の子供のように今まで育ててくれたのはこの村の村長さんだ。
私が出ていったらとても悲しむであろうことも容易に想像できる。
それに、村長という立場で自分の家族同然の子供が村を1人で出ていくなんて事が起きたら大変になるだろう。
それは村長の娘のコウも同じだ。
「うん。村長さんには絶対に迷惑をかけちゃうと思う。もちろんコウにも。でも、私、もう、ここの、ダンジョンに行ったり、学校で授業を受けたりじゃ、満足できなくて。。」
「それは分かってる。学校でも、Aはずば抜けた運動神経を持ってるし、課外授業の成績もすごくいい。休みの日にダンジョンに行ってもいつも助けられる。
じゃあ、ほんとうに全てのことを考慮して決めたんだよね？」
頭の中に沢山の人のことが思い浮かぶ。
コウの家族…学校の友達…村の人達…
でも、それでも…
「私は村を出たい。調査団に入りたい。」
そういった途端コウはにっこりと笑った。
「そういうと思った。
でも、一つだけお願いがあるんだ。」
「何？」
一つだけと聞いて、しっかりコウを見る。
「Aは、運動神経はいいけど、ひとつのことにまっすぐ突き進む…猪突猛進だからほら、向こう見ずな所があるでしょ？」
「うっ…」
図星だ。
「だからさ…ボクも一緒に連れて行って欲しいんだ。」
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作者名：旋風(ﾂﾑｼﾞｶｾﾞ) | 作成日時：2018年10月23日 20時
