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「おせぇし、水は？」
「あっ忘れた。ラウールと目黒に会ってね、ごめん」
タレ目がギロっと牙を剥くが、優しさが垣間見える。
腕の中にはスヤスヤと寝息を立てるお嬢の姿。
「寝てくれて良かった」
「安心したっぽい」
「さすが翔太」
お嬢が建前なしに、心を許すのはいつだって、渡辺。
宮舘は少し、それが羨ましく思うのだ。
お世話係という名目がなければ、自分にここまで懐いてはくれなかっただろうという思い込みが宮舘にはある。
「別に、涼太でも出来んだろ」
それでも、思いを見透かすようにそう言うから、毎度どうでも良くなってしまうのだ。
「可愛い寝顔だよね」
「当たり前だろ」
むすっとむくれて言った。
「俺に守りきれるかな」
いつになく、不安げな相棒に不自然さを感じる。
「弱気じゃん？」
「なんか怖くなってね、お嬢がいなくなったら俺やだな」
この社会を生きる人間は皆平等に儚い。
いつ、そのガラスが割れてしまうのか分からないのだ。
「俺らが守る」
「お嬢が、俺らを怖がったら」
目を伏せて渡辺を見ない。
ラウールと目黒のボロボロ具合が伝染してしまったように、宮舘は落ち着かない。
「それでも、守ってやれんのは俺らしかいねぇじゃん」
青薔薇の手が肩に伸びた。
ポンっと優しく叩くと、宮舘は弾かれたように顔を上げる。
「何聞いてきたのか知んないけど、俺は死ぬまでAのそばを離れねぇって約束したから。
だから、涼太も死ぬまで一緒なんだよ」
お互いまっすぐ見つめ合う。
しかし、慣れない事をしたせいか、途端に小っ恥ずかしくなり、耳を赤く染めて目を逸らした。
お嬢の安心したような寝息だけが部屋に響く。
その髪をサラリと撫で、渡辺は愛おしそうに微笑んだ。
「……それは、しあわせかもね」
「ん？」
「二人といれたら、生きてるって感じるから」
トクっトクっと小さく脈打つお嬢の心臓。
小さなその手を握れば、感じることが出来る。
ほっとした表情を見せた宮舘。
珍しい弱気な彼の態度に、渡辺は慣れたことのように振る舞った。
阿吽の呼吸とは、まさにこの二人を指す言葉だろう。
月は下へと落ちていき、太陽が顔を出す。
また朝が来る。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「No.2？」
「はぁい？」
「手紙来てますよ〜」
「誰からよ」
「吹雪組の、岩本くんから」
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霞(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます！これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります！ (2023年1月2日 23時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます！励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています！！百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります！無理せず更新頑張って下さい！ (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます！マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2022年11月30日 1時
