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「……蓮くん、もう話してくれないかな」
また迷い子のような顔を見える。
あどけない少年の顔がさらに幼くなる。
「そんなことないよ」
疑わしげに宮舘を見つめる。
「ははっ、その顔は信じてないな」
「だって、」
「不確かなものには希望をかけた方が得だよ」
唇を尖らせた少年に、青年は語りかける。
妙に説得力を増す雰囲気は、彼特有のものだ。
言ってることはごく普通のことだが、何となく説得力が違う。
「叶わなかったら、もっとかなしくなる」
「どんなものでも、そんなすぐには叶わないさ」
カチャリ、と音を立てて大きな破片をまとめ、ラウールが持ってきた箒で細かい破片を集める。
「っ痛」
「おっと、」
細く白い少年の指から真っ赤な血が一筋。
「僕ね、生きてるって、思うの」
ぽぅっと微睡んだ瞳のまま、染まっていく自身の指先を見つめる。
「ん？」
「流れてる血を見るとね、生きてるなぁって。
僕が死にかけた時、吹き荒れる血を見て、なんか、あぁ、生きてるって血が通ってることなんだって。……そんなの、当たり前なんだけどね」
髪をクシャッと撫でると、ワックスが付いた金髪は強風が吹いたみたいに崩れた。
「翔太も昔、似たようなこと言ってたよ」
＿＿＿＿＿「涼太、俺、生きてるわ。今、なんか、生きてるって思った」
返り血に塗れた綺麗好きの相棒が、呆然とそう呟いたのを宮舘はよく覚えている。
しかし、あまり掘り返す話でもない。
似たもの同士縁があるのかもね、と、今はただ今夜を総括して思った。
「さ、消毒しないと。綺麗な指だから」
集まった破片を袋に纏めて、立ち上がった。
ガチャっと不安定な音が鳴る。
「大丈夫だよ、これくらい。自分でやる」
「…二人してホントに頑なだね」
キッチンペーパーを無造作に取り、止血を始めたラウールを見て、呆れたように微笑む。
「これでも『兄弟』だもん」
「……そうだね」
拗ねたように、どこか寂しそうに言った。
ラウールは、迷い子の目を止めない。
目黒との溝が深まれば深まった分だけ、彼は迷う。灯りのない暗闇をずっと彷徨い続ける。
「手当して、寝よう。よく寝たらいい朝が来るから」
夜行性の吹雪組の夜は長い。
カタギでない彼等にとって、好都合な場合が多いのだが、苦しむ仲間を見る度に、早く朝日よ、昇ってくれと願わずにはいられない。
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霞(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます！これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります！ (2023年1月2日 23時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます！励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています！！百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります！無理せず更新頑張って下さい！ (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます！マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2022年11月30日 1時
