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「お嬢、こんな遅くにどうしたんすか？…あれ、宮舘くんか翔太く「めめっ、めぇめ、ぅっ、めめぇ……」
目黒の疑問を余所にお嬢は脚にひしっと僻みつく。
そして、堪えていた涙はとうとう零れてしまった。
"めめ"と彼女と向井が勝手に付けたあだ名を連呼するばかりで、目黒には全く状況が読めない。
百合組が居ないこと、屋敷に人の気配がないこと、を確認し、目黒はお嬢へ形式張った態度を取るのをやめた。
「Aちゃん、とりあえず部屋入ろう。ね？」
「ぅ、」
鼻をスンスンさせながら頷く。返事もまともに返せないほどひどい状態で泣いている。
腰を屈めて軽々と抱っこすると、お嬢しか入ることの許されていない目黒の自室へと連れ込んだ。
「ほら、ティッシュで涙拭こ」
「ん、」
しゃくりをあげながら素直に言うことを聞く。
やさしい目黒の声と、冷静な対応でお嬢の恐怖は徐々に取れてきたよう。
「Aちゃん、宮舘くんたちいないの？」
「いなかった、」
ポツリと寂しげに呟く。
「居なかったか、……仕事かな？」
臨時召集に呼び出しのかかっていない目黒は知らないのだ。
「めめ、こわい」
「えっ、俺怖い？」
何かしてしまったか。ギョッと効果音がつきそうな顔。
「ちがっ、めめじゃない。こわい、こわいの……」
拭いたばかりの頬がまた濡れる。
「おぉっ、また泣いちゃった。……もしかして、なんか見ちゃった？」
左腕でお嬢をそっと包み込みながら問う。
「ゆめ」
その一単語だけで目黒は分かった。
「ん、怖いやつ見たの？」
「……記憶があいまい、っでも、A、包丁向けられてた」
＿＿＿＿＿＿包丁
そのワードに彼の目つきは険しくなる。
それはお嬢の今は忘れ去られた過去の記憶に関係するモノ。
彼女は忘れるべき、忌まわしき記憶。
目黒が深澤に拾われる前にお嬢は吹雪組へ来た。
お嬢の過去については、あくまで岩本から事細かに聞いただけだ。
「夢でころされちゃったのかな」
シクシク、淡々と涙は流れ続ける。細い身体は恐怖に支配されて震えが止まらない。
「A、大丈夫だよ。俺んとこに来れて偉かったね、怖くないよ」
お嬢の頭を自分の胸にぐっと引き寄せた。目黒の体温が、規則正しい心臓の音が冷静さを取り戻させる。
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霞(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます！これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります！ (2023年1月2日 23時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます！励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています！！百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります！無理せず更新頑張って下さい！ (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます！マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2022年11月30日 1時
