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ほんの少しばかり欠けた月が輝く夜空。
お嬢の部屋にも小さな窓から月光が差し込む。
それとは裏腹に、お嬢の寝顔は眉間にしわを寄せ、ひどく苦しげ。息も荒い。
「……やだ、… しょうた、……しょうたっ、たすけてっ！！！！！」
大きな声で、渡辺の名前を呼んだ。
その自分の声で目をぱっちりと開けて、
と、同時に違和感にも気づいた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿襖が開かないのだ。
普段、どんなに小さなSOSも聞き逃さず、見逃さない
お嬢が呼べば、苦しめば、すぐさま駆けつけるのに、今日は現れないのだ。こんなことは初めてで、お嬢は頭の整理をつけるのに少々時間を取った。
「しょうた、だて、？……いないの、お仕事？」
か細い問いは、静寂な部屋に溶けていく。
時計の針の音だけがチクタクと耳に入る。
＿＿＿＿＿＿お嬢は唐突に怖くなった。
二人は居なくなってしまったのではないか。
阿部のカウンセリングの後、二人はお嬢と会うことなく、時計の針が12時回る前に仕事へ出かけた。
お嬢は軽食を取った後、安心したように寝てしまった。
きっと阿部が連れてきてくれたんだろう。
「さがす、」
意を決して、彼女は襖を開けたが、そこには誰もいなかった。
つぶらなその瞳に涙が溜まっていくのを感じながら、泣かない泣かない、と心に言い聞かせて廊下を歩き出した。
ぺたぺたと自分の足音だけが聞こえる。
人の気配がない。
夜中であってもどこかしらの部屋の電気は付いていることが多いのに、今日は廊下の灯り以外真っ暗に近い。
となれば、目指すのはこの屋敷の一番奥にある子部屋。
入り口も狭く、言わなければ気づかないような、死角のようなところにある。
躊躇気味に扉を二度叩く。
中にいる人が、音に反応した気配がした。
「…っめめ、」
涙を堪えながら部屋の主の名を呼ぶ。
「……お嬢？」
低音の声は困惑しているようで、数秒ほど経ってから扉がスっと開いた。
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霞(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます！これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります！ (2023年1月2日 23時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます！励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています！！百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります！無理せず更新頑張って下さい！ (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます！マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2022年11月30日 1時
