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結婚式当日
正装のビルはいつも以上にかっこよくて、ドレスに身を包んだフラーは本当に美しかった。
2人が微笑むのを見て、嬉しさが込上げるのと同時に、それと同じくらい胸がズキズキと傷んだ。
恋なんてしたことなくて、今まで何も気づかなかった。自分がビルを好きだったなんて、分からなかった。談話室でビルについて噂する女の子たちと、同じだったなんて……。
結婚する前日に全て気づくなんて馬鹿みたい。
私に笑いかけるその笑顔も、A、と呼んでくれる甘い声も、手や肌に優しく触れる大きな手も、私を常に気にかけてくれるところも、全部全部、
好きだったなんて。
小走りでそっとでテントを出て、2人を祝福する声を無視して、突っ立っていた。陽気な音楽さえも今の私には辛かった。空が滲む、
「…ごめんっ、」
いきなり聞こえた声と、目の前が真っ暗になり、背中に回された長い腕。
これは、
「、ジョー…ジ、?」
なんでジョージに抱きしめられているんだろう。
見透かしたように言う、
「A、泣いてるの気づいてないだろ？」
「は？私、泣いてなんて…」
言葉にして自分の頬が濡れていて、視界が妙にぼやけていたことに気づく。
ジョージがどうして自分のところに来てくれて、自分を抱きしめてるのかなんて考える隙はないほど、泣いていることに気づいた瞬間にジョージの胸を借りて静かに泣いた。
恋心を自覚したのがあまりに遅かった。
「……A」
嗚咽を漏らしながら泣いた。自分の体内の何処にこんな水分があるのか不思議だった。
ジョージがずっと背中をさすってくれていた。
ビルより少し大きな手で、緊張したように。
ビルならこんな時、スマートに抱き寄せて、何も言わずにそばに居てくれるんだろうなんて、もう一生叶わないような夢を描いてしまってさらに苦しかった。
「…っ、すきだよ、ビル」
声に出してみたけど、余計に悲しくなるだけだった。涙が枯れてしまうんじゃないかと心配したが、涙はこれでもかと溢れて止まることを知らなかった。目はきっと真っ赤だ。
「これじゃ…戻れない、……っ、」
「戻らなくて良いよ、俺と話してようぜ？ ……俺は、Aの傍にずっと居るから、離れないから。……俺だって、ずっと…だ」
最後の言葉はあまりに小さくて聞き取れなかった。聞き返しても、ジョージは笑うだけだった。
儚い片想い、もっと早く気づけば。
そう思うのさえ、遅すぎた。
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フォイの許嫁(プロフ) - どのお話も切な過ぎて泣きそうです.....😭 (4月21日 14時) (
レス) @page22 id: 8a6381d4ef (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - スピカブラックさん» 記載出来ていたつもりが、出来ていなかったようですみません。リクエストにお応えするつもりは今のところありません。遅筆ですし、不定期に気分で書いているので催促はやめていただけると嬉しいです。私の注意不足ですみません💦 (2022年11月14日 13時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - 霞さん» まだですか？ (2022年10月3日 8時) (レス) id: 7ca7b99cb8 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクエストでスネイプ先生書いて欲しいです！ (2022年9月21日 14時) (レス) id: 7ca7b99cb8 (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - どのお話も素敵で感動しました。これからも素敵なお話楽しみにしています。 (2022年9月21日 3時) (レス) id: e3d27a2b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2021年1月17日 23時
