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杖をひと振りすると、宙に城が浮かび上がる。
イギリスの中で最も安全とされる、優美なホグワーツ城だ。
「ホグワーツって言うのは、ホグワーツ魔法魔術学校のこと。11歳から通うことの出来る7年制の魔法学校よ。世界中から魔法使いの子供たちがやってくるの。私もホグワーツ卒業生」
「すてき、魔法学校、！わたしも行けるの？」
Aは魔法学校というその響きだけで、すっかりホグワーツの虜になった。
「来年、招待状が届いたらね。」
目を細めてやさしく笑うフィガロと、対象的に俯くA。
「わたしは穢れてるから、それは来ない？」
思わぬ言葉に目を見開くフィガロ。
曇りのないその眼から、愛情をいかに与えられてこなかったのか感じられる。若い頃の自分を見ているようで、フィガロは椅子に腰かけ優しく語り掛ける。
「愛称、魔法界には様々な魔法使いが存在しているわ。
魔法使い同士の間に生まれた「純血」の魔法使い、
魔法使いとマグルの間に生まれた「半純血」の魔法使い、
そして、マグルの間に生まれた、あなたのような魔法使い。
けれど、この世には、「純血至上主義」というものを強く推し進めている魔法使いが一定数存在するわ。残念なことにね。」
「それは、残念なことなの？」
「純血至上主義」というもの自体上手く噛み砕けていない無垢な少女に、自分の隣に腰掛けるのを勧めるように、そっと手を伸ばした。
それに従い、素直に座る。少女の碧眼がこちらを見つめ、話の続きを待っているのを感じ取ると続きを話し始めた。
「そうよ、純血の魔法使いのみが真の魔法使いだという考え。私の、ブラック家もそうだったわ。
でも、それは間違っている。
全ての魔法使いは平等であるべき。マグル生まれの魔法使いを穢れた血と呼ぶ奴も居るけど、気にしてはダメよ。」
「穢れた、血」
「愛称」
復唱するAをたしなめる。
「パパとママに言われた」
悲しげにまつ毛を揺らすのを見て、フィガロはひどく心を痛めた。こんな、幼い子になんてこと言うんだろう、
「やめて、もうあなたの人生に関係のない人よ。血なんて、血筋なんて関係ない。マグル出身の優秀な魔法使いは沢山いるわ」
「わたしも、なれる？」
「なれる、私が育てるから」
白く細いフィガロの指が小さなか弱い手を包み込む。
フィガロとA始まりの日、ホグワーツ入学1年前のことだ。
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霞(プロフ) - raitisayaseさん» 遅くなりました💦コメントありがとうございます！嬉しいです、カメさんですが頑張ります！！ (2022年9月20日 21時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
raitisayase(プロフ) - 続が楽しみです！頑張って下さい。 (2021年12月4日 21時) (レス) @page34 id: 9634a3802d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2021年1月10日 13時
