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コツコツと音を立てて近づく影。
どうしたものかと、視線を揺らがせる。
目の前に広がる大きな棚と杖を見つめ続けることしか出来ないのだが。
「おやおや、これはお嬢さん！気づかなんだ、いらっしゃい」
店主がようやくAに気づいて声をかけた。
足音もピタリと止む。
店主の方を振り向くと同時に、男の子は呼ばれて店を出て行ってしまった。
きっと面白半分で近づいたに違いない。
「あの、私、杖を、」
しどろもどろになりながら、説明する。
「もちろんだとも！おや、お嬢さん、もしや魔法の杖を使うのは初めてではないのではなかろうか？」
朗らかな声でオリバンダーさんが答える。
既に魔法を使ったことがあるということ、師匠の杖を使っていたが、自分にあっていなかったことを伝えた。
「ほぉ、マグル生まれでありながら、十分に優秀な魔女と言えますなぁ……。ではこの杖ではいかがかな?」
フィガロが持っていた杖はもっと短かったように思える。
「長い…」
一目見ての率直な感想だ。
「そうでしょうとも、お嬢さん。お師匠様が使っていらっしゃった杖は推定23.5cmでしょうな。こちらの杖は、木はサンザシ、ドラゴンの心臓の琴線、36cm。きっとぴったりだ」
イアンを床に下ろして、おずおずと、一生を共にするかもしれないその杖を手に取る。
手にしっくりくる感じがあった。
じんわりとした温かさを感じた。
Aを杖の主だと認識したのだろうか。
「おぉ…！これはこれは素晴らしい！杖もお嬢さんを主だと認めたようだ。」
オリバンダーさんが歓声を上げる。
杖のプロフェッショナルが言うのであれば、そうなのだろう。
「これでもっと魔法が使いやすくなる？」
Aとしては、とても素朴で、大切な質問だった。碧色のその瞳はきらきらと揺れていた。
「もちろんですとも。では、そちらの杖で良いかな？」
「うん、これで！」
オリバンダーの言葉に安心すると、食い気味に返事をした。
と、同時にAが入ってきた時と同じように、カランッと音を立てて、店の扉が開いた。
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霞(プロフ) - raitisayaseさん» 遅くなりました💦コメントありがとうございます！嬉しいです、カメさんですが頑張ります！！ (2022年9月20日 21時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
raitisayase(プロフ) - 続が楽しみです！頑張って下さい。 (2021年12月4日 21時) (レス) @page34 id: 9634a3802d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2021年1月10日 13時
