クリスマス休暇は唐突に ページ41
.
「…」
Aはひどく困っていた。
近づく聖夜の日に困っていた。
クリスマスが近づく度に生徒たちは嬉々揚々として、お互いのクリスマスの予定を語り合う。
その話題はAの部屋でももちろん行われるわけで。
毎夜毎夜飽きもせず、楽しいクリスマスへの思いをそれぞれが馳せ、語り合っているのだった。
その会話に1人だけ参加しないわけにもいかないので、相槌を打ち、クリスマスとは世間一般にどういうものなのかこっそり学んでいた。
というのも、Aはクリスマスというものをよく知らない。
イベント自体はもちろん知っているが、「普通の」クリスマスを知らないのだ。
マグルであった頃、家では除け者にされていたのでサンタクロースが彼女の元に来たことは1度もない。
姉が「はい、愛称の分ね」とご馳走とケーキをこっそり分けてくれたのを鮮明に覚えてる。
だから、いつもより美味しいものが食べられるのがクリスマスとばかり思っていた。彼女から聞くサンタクロースに目を輝かせていた幼少期が懐かしい。
今はもう期待をしなくなって、どんなものかも結局分からずじまい。
フィガロと過ごしていた時はツリーを飾って、ケーキを作った。そして、聖夜はお互いにしたいことをしよう、と提案したフィガロに、Aは魔術の議論会がしたいと申し出たのだ。
「全く、あなたって本当に魔法が大好きなのね」
と、からかい気味に言いながらも彼女は、夜遅くまで付き合ってくれて、尽きることの無い質問に答え続けてくれた。
ココアと、甘いお菓子を片手にサンタクロースなどお呼びでないと言いたげに、部屋の明かりをほんのりつけて語り明かした。
しかし、これがごく一般的なクリスマスでは無いと気づいたのはつい最近のことである。同室の彼女たちの話を聞いて、世間とだいぶズレていることに気づいたのだ。
以前、一部始終をこっそりセブルスに打ち明けたら、クスッと笑われた。
クリスマス休暇はホグワーツ城に残るのか、規制するのかを選択することが可能。
1年生の多くはここで一旦帰省する生徒が多いようで、同室の4人も一度帰って家族とクリスマスを過ごすようだ。
ただ、Aの場合、フィガロから連絡が来ない以上、家に帰ることは危険なので、ホグワーツへの居残りが決定するわけなのだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霞(プロフ) - raitisayaseさん» 遅くなりました💦コメントありがとうございます！嬉しいです、カメさんですが頑張ります！！ (2022年9月20日 21時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
raitisayase(プロフ) - 続が楽しみです！頑張って下さい。 (2021年12月4日 21時) (レス) @page34 id: 9634a3802d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霞 | 作成日時：2021年1月10日 13時
