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駅のすぐ近く目立たないところに着く。
発車までまだ15分残っている。
「本当にありがとう、師匠。お手紙書く」
「えぇ、色々聞かせて。愛称、どうか気をつけて。
この世で1番貴方を愛しているわ」
愛している、なんて素敵な言葉。人生で初めて聞いた。こんなにも心がじんわりと暖かくなる言葉だったのか。
「…私も」
フィガロに抱きついて、そのまま頬に優しくキスをすると、フィガロも額にキスをおくってくれた。
イアンが急げ、と足を引っ張る。
「イアン、愛称を頼むわ。」
イアンが尻尾を振って応える。重い荷物を引きはじめ、フィガロから離れる。
「必ず帰るから、待っててね」
フィガロが嬉しそうに笑うのと、姿現しで消えるのは同時だった。ポケットの中には今朝貰ったばかりのピアスがカチャカチャと音を立てている。
「イアン…案内してくれる？」
ぱっと歩き出すイアン。見失うことは無いが、重い荷物を引きながらではやはり堪えた。
９と４分の３番線、そんな駅は存在しない。
本にはっきりそう書かれてあった。マグルたちに見つからないように存在しないようになっている、と。
「壁……」
来いよ、とイアンは言う。どう見たって目の前は壁だ。フィガロも駅への行き方を教えてくれなかった。行けばすぐに分かると言っていた。でもこれは一体、
「愛称!!」
「、え」
同じく重い荷物を引きながら手を振ってやって来るのは綺麗な炎のような赤毛の髪をしたリリー。
隣には大きな目をぱっちり開いたセブもいる。
「…こんにちは、リリー、セブも」
「こんにちは、愛称！久しぶりね。こんなに直ぐに会えるなんて思わなかった！…これから９と４分の３番線へ行くの？」
相変わらずはきはきと物怖じせずに話す子だ。
「そうよ、でも行き方が、」
「何を言ってるの？愛称。目の前にあるじゃない」
その言葉にセブでさえもふっと笑った。はてなが浮かび続けている私にリリーがこうするのよ、と壁に突撃した。壁にぶつかることなく、するりと抜けると、リリーは壁の向こうに消えてしまった。
「、セブ」
「先に行け」
見て分かっただろうと顔がそう言っている。先に行け、と言ってくれるだけいい。見守っていてくれるのだ。
イアンはとうにすり抜けていたようで、リリーのように勢いよく壁にぶつかった。壁に当たる感触はなく、するりと通り抜けた。
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霞(プロフ) - raitisayaseさん» 遅くなりました💦コメントありがとうございます！嬉しいです、カメさんですが頑張ります！！ (2022年9月20日 21時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
raitisayase(プロフ) - 続が楽しみです！頑張って下さい。 (2021年12月4日 21時) (レス) @page34 id: 9634a3802d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2021年1月10日 13時
