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男二人が声を上げる。
「アニキー!
見失いました!」
「探すぞー!
折角見つけた幻の黒の民だったのに!」
その後ろで一人の少女は感嘆を含む声音で呟いた。
「ここがパナシェドール魔法学園…!」
場所は変わり学園内。
白の民の青年が籤の箱を抱え面倒臭そうに案内をする。
そんな中,黒を身に纏う少年は『1』という数字の書かれた紙を手にしていた。
帽子の姿をした使い魔が口を開く。
「さすがマスター,貴方に相応しい数字ってやつですねぇ」
「おい,マスグラ。
分かってはいると思うが学園内では…」
被せるように使い魔は取り繕う。
「わかっていますよぉ〜。
にしても『バディ制度』だなんて,マスターには似合いませんねぇ」
かの悪の大魔導師の名は,ターフェアイト・スピネルと言いました。
「まぁ…,その通りだが。
ともかく地位はある程度必要だ。
この国だとここが一番の魔法学園だからな。」
金髪の少年は睨みつけるように看板を見遣った。
「優秀な手駒もついでに作って,また始めようじゃないか。
新たな悪の大魔導師の伝説を。」
黒い瞳をうろつかせる少女は口角を上げる。
『ようやっと見つけた』
かの稀代の魔導師の名は,A・マントゥールと言いました。
そしてかの英雄の名は
「今日で私も16歳…。
やっと強い魔法の勉強が出来る…。」
少女が『1』の数字が書かれた紙を見て決意する。
「がんばらなきゃ…,みんなの為にも…。
絶対に,強くて優しい善の大魔導師になってみせます…!」
三人の言葉が交差する。
帽子の使い魔は主人に伝える。
彼女こそが,彼女らこそが,探し求めていた二人だと。
「フォリア…フォスフォール…。
A・マントゥール…」
少女はきょとりと困惑の表情を浮かべた。
もう一人は多少の喜色をその瞳に揺らめかせた。
少年が誤魔化すように笑みを浮かべた途端,少女は明るく語りだす。
彼に近付く様子にもう一人は機嫌を低下させる。
「あ,あー…一番の人を探しているんだが…」
話題の転換を試みる。
行われる自己紹介。
お互いがお互いのことを知ったその時に,彼女は動いた。
『バディって言っても,三人の時があるんだねぇ…。
私はA・カーオスだよ。
ターフェ,フィオ,よろしくねぇ』
浮かべられた笑みは少しばかり暗かった。
それに気が付いたのは,ターフェとその使い魔だけであろう。
三人で握手が交わされ,呪いが掛けられた。
街へと駆け出し,再び時代は動き出す。
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作者名:紅華 | 作成日時:2023年9月13日 13時