78.見舞う ページ42
支部に戻って昼食をとり、桐絵先輩、栞先輩と一緒に修のお見舞いに行く。他の人はと言うと遊真と千佳は本部、レイジさんと迅さんは任務、とりまるはバイトだ。
病室を視てみると女性が1人いた。かなりの美人で、年齢は20過ぎくらい?
『…修ってお姉さんいましたっけ?なんか女の人が来てるみたいなんですけど…』
そう言うと何故か2人は目を合わせてにやっと笑った。
宇「その人、多分修君のお母さんだよ」
南「ほんと年齢詐称よね。ああ見えてもうすぐ40なのよ?」
まじかあ、見た目めっちゃ若いじゃん…!
2人は前にも一度お見舞いに来たと言っていたから、きっとその時に彼女に会ったのだろう。
『多く見積もっても20代にしか見えない…ってことは将来的に修もああなるのかな⁉』
宇・南「「あり得る… ‼ 」」
話をしながら病室に入ると、出迎えてくれたのはさっきの女性。本人からも母親だと聞いて驚く。
修の母───香澄さんに菓子折りを渡し、しばらく4人で話をした。修のボーダー内での様子や訓練の事を話すと、表情はあまり変わらないけどしっかり聞いてくれていた。表情筋は全く仕事してないのに言うことはマイペース。なんとも捉えどころのない人だ。
桐絵先輩の猫かぶりが終始見事だったのは言うまでもない。
支部に戻り、とりまると千佳それぞれと話をする。2人とも自分を責めすぎているから、それを少しでも軽くするため、私なりの"最善"の言葉を投げかける。
こういう時は下手に共感しちゃいけない。同情もダメ。ただ優しいだけでは相手に響かないから。
2人のメンタルケアを終え、ほっと息をつく。あとは迅さんだけ。
と、丁度いいタイミングで帰ってきたようだ。
宇「おかえりレイジさん、迅さん!」
『おかえりー。…ねえ迅さん、ちょっと相談が…』
迅「…あー、うん、確定しちゃったかあ。いいよ、行こ」
私の自室に向かう。迅さんには視えていた事なのだろう、確定したとか言ってたし。
2人分のコーヒーを淹れ、小さなローテーブルを挟んで向かい合って座る。なんか今日はコーヒーばっかだな。マグカップを両手で包み込むようにして持ち、コーヒーを少しだけ口に含む。苦味がじんわりと広がった。さて、どう切り出すか。
『…迅さん、何でもかんでも自分のせいだと思ってませんか?……いや、思ってますよね』
迅「…Aには隠しても無駄だな。思ってないと言ったら嘘になる」
迅さんの答えが予想通り過ぎて、大きくため息を吐いた。
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作者名:しとろん3号 | 作成日時:2019年2月6日 18時