50.実験 ページ5
と、いきなり新型が殴りかかってきた。咄嗟に上に跳んで躱し、隣の建物の屋根に降り立つ。攻撃の衝撃で建物が次々と壊されていった。物凄い破壊力だ。今のを食らってたら危なかった。
さ、次はこっちからだ。まず狙うのはガラ空きの頭。そんなでかい図体で私のスピードについて来られるはずがない。一撃で仕留める、はずだったのだが、
ガキンッ!
うわっ、固っ。スコーピオンじゃ強度が足りない。奥には届かないな。しかもちょっと欠けてるし。さて、どうしようか?そんな事を思いながら口元はゆるりと弧を描く。
…よし、こいつで実験してみるか。どこが硬くてどこが比較的柔らかいのか、狙い所はどこなのか、全部調べてやろう。とにかく斬って、斬って、斬りまくろう。
腕、脚、関節、胴体、背中、首。
一通り斬ってみてから、最後に弱点の目に留めを刺した。
『本部、こちら皐月。新型トリオン兵についてです。特に硬いのは頭、腕、背中で、逆に狙い所は他のトリオン兵と同じで目の部分。後は関節にあたる部分ですね。攻撃力、機動力はかなり高い。今分かったのはそれくらいです。引き続き戦闘を行います』
忍「了解だ、他の隊員にも伝えておく!…何っ⁉隊員を捕らえる…⁉」
『?…どうかしましたか?』
忍「……った。……が着く……く…くれ。…皐月、本部の南部に向かってくれ!今お前がいる場所は諏訪隊と風間隊に任せる!新型はトリガー使いを捕らえるためのトリオン兵だそうだ!こいつらを最優先で倒せ!」
『皐月了解!…城戸さん、そろそろ使ってもいいですか?』
城「……トリガーだな?…今回は許可しよう。そういう約束だったはずだ」
『ありがとうございます』
やっぱり城戸さんは約束は守る人だ。この人のこういう所、好きなんだよなあ。
通信を終え、ふぅーっと大きく息を吐く。再び迅さんの言葉が頭をよぎった。だが、それを振り払って覚悟を決め、表情を引き締めた。
『トリガー
生身に戻った瞬間頭蓋骨が割れそうなほどの酷い頭痛。吐き気もする。目の前がよく見えない。倒れ込みそうになるのを必死にこらえる。だが、そんな事を気にする余裕はない。
左耳に触れる。正確には、左耳に付けてある小さなピアスに触れる。そして、囁くように唱えた。
『
次の瞬間、目の前が白い光に包まれ、何も見えなくなった。
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作者名:しとろん3号 | 作成日時:2019年2月6日 18時