66.替えて ページ26
Side:三上
Aが倒れたと聞いて思わず医務室まで来てしまったが、冷静に考えれば大勢の人が押しかけたら逆に迷惑だろう。隣にいた二宮隊オペレーターの亜季ちゃんと目が合い、互いに頷く。
三「加古さん、月見さん、国近先輩。ここから皆を遠ざけるのに協力してもらえませんか？」
加「…そうね。思わず来ちゃったけど本当は迷惑よね、こんなの」
月「私も協力します」
国「わたしも〜！」
氷「ありがとうございます。私達はここで待機してます」
加古さん達のおかげで医務室から皆を遠ざける事が出来た。残っているのは菊地原君だけ。と、医務室から歌川君が出てきた。
歌「三上先輩、氷見先輩、皐月の事頼みます」
三「うん、任せて」
歌川君の言葉に頷き、亜季ちゃんと共に医務室へ入る。
「あ、君達皐月さんの？」
三「はい。風間隊オペレーターの三上です」
氷「二宮隊オペレーターの氷見です。あの、私たちは何をすれば…？」
「三上さんと氷見さん、ね。皐月さんを着替えさせてやってくれないか？服はそこに用意してあるから」
三・氷「「了解です」」
Aのベッドまで行き、周りをカーテンで囲う。二人掛かりで制服を脱がせる。その時触れた肌はとても熱くて、人間とは思えないほどだった。息遣いも苦しそうだ。
亜季ちゃんが汗を拭いてくれている間、私は替えの服を持ってくる。一般的な病院服だ。…それにしても、なぜこんな高熱が？元々今日は体調が悪かったのか、それとも何か他の理由が…
氷「どうかしたの？」
気づけば手が止まっていた。無意識に考え込んでいたようだ。
三「ううん、何でもない。何でこんな高熱が？って思ったの」
氷「…たしかに。何でだろう」
2人して疑問に思うも、今はそんな事考えてる場合じゃない。二人掛かりで服を着せ、主治医に声を掛ける。
三「先生、終わりました」
氷「他に私たちにできること、ありませんか？」
「二人ともありがとう。助かったよ。男の俺が着替えさせるのには何かと気を遣うからね。
ここからは俺たちの仕事だ。皐月さん、今はすごい熱だけど命に別状はないよ。だから、あとは俺たちに任せて」
そう言って微笑む先生を見れば、なんだか心が落ち着いた。気持ちがかなり焦っていたという事に、今更のように気がついた。
三「…分かりました。Aの事、よろしくお願いします」
氷「私からも。よろしくお願いします」
二人して頭を下げると、先生は柔らかく微笑んだ。
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作者名：しとろん3号 | 作成日時：2019年2月6日 18時
