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57.瞬間の ページ14

上に飛ぼうとして、ふと思い留まる。思い返せばさっきから上に躱してばかりだ。そろそろ私の動きを読んでくる頃だろう。そう考えてバックステップで後ろに躱す。

予想通りだ。相手は私が空中に逃げると踏んで空中に弾丸を繰り出していた。
あー、危ない危ない。着地してほっと息をつく。一度立て直して───────

っ、⁉

背後で空気が動いた。振り向く事なく本能的に右手に転がる。だが間に合わず、大剣で左脇腹を削られた。

さっきの弾丸は"釣り"だったのか。相手も私が後ろに躱すと読んでいた。だから敢えて弾丸を放ち、確実に私を狙った方向へ動かしたと同時に一瞬気を緩ませたのだ。くそ、相手の思うツボだ、あそこで気が緩むなんて。ぐっと唇を噛みしめる。

相手の攻撃は止まらない。的確に急所を狙ってくるが、ギリギリの所で何とか躱す。と、相手の大剣が銃に変わった。恐らく機関銃(マシンガン)だ。

大剣じゃないなら弾丸を躱せば近づけるかもしれない。カペラをいつもの双剣に変え、シリウスを出して突撃する。

同時に、相手も引き金を引くのが見えた。うん、あの弾速なら捌ける。迫ってくる弾丸をシリウスで防いだ、はずだった。

次の瞬間、視界が白い光で覆われた。何も見えない。認識できない。届くはずだった刃が届かない。
閃光弾だったのか…⁉サイドエフェクトがあるとは言え、不意打ちでは対応しきれない。
相手が向かってくるのは本能的に感じていた。だが、どちらに避けるべきか、一瞬迷ってしまう。さっきは完璧に裏の裏をかかれたからだ。


戦場ではその一瞬が命取りだと、分かっていたはずなのに。

判断に一瞬躊躇った私は、相手の攻撃を正面から受けてしまった。

咄嗟に出したシリウスのお陰で急所は外したけど、さっきまでの戦闘も含めてかなりのトリオンを消費してしまった。多分、攻撃に使えるトリオンは残り少ない。が、幸いな事に傷はそう酷くはない。





周りの様子を視て、これからの事を予測する。


今私が緊急脱出(ベイルアウト)すれば、被害は更に大きくなるに違いない。


"最善"のためには、私がこの相手を倒す、もしくは敵の撤退まで引きつけなきゃいけない。


うん、やる事はシンプルだ。

覚悟も決まった。







私は、穏やかな表情で告げた。









──────『緊急脱出(ベイルアウト)機能、解除(オフ)

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作者名:しとろん3号 | 作成日時:2019年2月6日 18時

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